“健やかなはじまり、希望のある未来へ”

4月7日はWHO世界健康デーで、毎年様々なテーマが掲げられています。2025年のテーマは「Healthy beginnings, hopeful futures(健やかなはじまり、希望のある未来へ)」とのことです。「母親と赤ちゃんの健康は、健康な家族と地域社会の基礎であり、私たちすべてに明るい未来を約束するもの」との考えから、女性の長期的な健康とウェルビーイングを各国に呼び掛けていくそうです(日本WHO協会HPより)。

今回は、女性の長期的な健康のために、各年代の方が気を付けるべき点を考えてみました。

思春期は生涯の健康の基礎思春期の女性ホルモン環境は、生涯にわたり女性の健康に大きな影響を及ぼします。エストロゲンという女性ホルモン分泌の低下は、無月経・無排卵による不妊、骨粗しょう症による骨折などを引き起こします。これらを防ぐためには、バランスのとれた食生活・適切な運動習慣などを思春期から身に付ける事が大切です。また、子宮頚がん予防としてのHPVワクチン接種は、将来子宮頚がんになるリスクを9割程度低下させると言われており、前向きに検討することが重要です。さらに、月経困難症に悩んでいる方は、痛みを放置することで、日々の生活の質が低下するだけでなく、将来子宮内膜症という病気になるリスクが高くなることが知られています。

躊躇せずに婦人科を受診し、必要に応じてホルモン療法をして頂く事をお勧めします。

性成熟期女性はプレコンセプションケアを妊娠する前のヘルスケアをプレコンセプションケアといい、将来の安全な妊娠・出産はもちろん、赤ちゃんの健康・更にその子の将来の健康を考える上で、非常に重要です。特に母体の体重管理は大切で、お母さんがやせ過ぎても、太り過ぎても、母児ともに長期にわたって危険な状態に陥るリスクが高まります。そのため、妊娠する前から適切な食生活・運動習慣によりBMI(体格の指標:体重㎏÷身長m÷身長m)を18.5以上、25.0未満の間でコントロールしましょう。

尚、妊娠を考えたら、胎児異常(二分脊椎など)の予防として葉酸(ビタミンBの一種)をサプリメントでしっかり補給することも必要です。

妊娠・出産・産後のケアは他職種連携で合併症のある方の妊娠や、妊娠してからの母児の異常に対しては、高次施設との連携が不可欠です。異常を早期に発見し、適切な対応を行うためにも、妊娠初期から分娩までしっかりと妊婦健診を受けましょう。また、分娩は母児にとって必ずしも安全とは限りません。母児にとって最善と思われる分娩管理、新生児管理を行いますが、状況により高次施設へ母体あるいは新生児搬送となる場合があります。

更に、産後は女性ホルモンの急激な低下や育児疲れ、環境の変化などにより、メンタル不調を訴える方も少なくありません。お母さんと赤ちゃんを支えていくためには、精神科医、地域の保健師の方々とも連携することが重要です。

更に、更年期の時期は女性ホルモンの低下、シニア世代では加齢による変化により、様々な心身のトラブルが現れてきます。女性の方は、思春期から中高年期に至るまで、内科だけでなく産婦人科かかりつけ医をお持ちになることをお勧めします当院では、産婦人科医、助産師、栄養士、事務スタッフ全員が、ご来院頂いた方の健康・生活をサポートするよう努めて参ります。

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