新型PSP、ソニーの準備が加速か。発売初日から「ほぼ全てのPS5ゲームが遊べる」可能性(多根清史)

(写真:ロイター/アフロ)

ソニーが、将来の携帯型PlayStation、いわば「新型PSP」上で、PS5のゲームライブラリをほぼすべて動作可能にする準備を進めている可能性が強まりました。

先日、ソニーが開発スタジオに対し、PS5の「省電力プレイ」機能への対応を強く促していると報じられました。しかも、単にフレームレートを30fpsに落とすのではなく、解像度を下げたりCPU使用量を抑えたりしながら、60fpsを維持することが求められているという内容です。

しかし、電力制限のない据え置き機であるPS5において、省電力対応を徹底する実用的な理由は見当たりません。そのため、低消費電力で動作する未発表の携帯型PlayStation上で、「PS5向けに購入したゲームが発売初日からそのまま遊べる」環境を整える狙いがあるのではないかと推測されています

こうした見方を補強する情報として、テック系YouTubeチャンネル「Moore’s Law Is Dead」(以下、MLID)が新たなリークを伝えています。同チャンネルは、PS5やXbox Series X|Sに搭載されたAMD製プロセッサに関する情報に精通しており、PS5 Proについても正式発表前に正確な内容を報じていました。

MLIDによると、ソニーはPS5向けの全開発SDK(バージョン1.0〜12.0)にパッチを適用し、省電力プレイ対応を実施したとのことです。さらに、PS5 Pro対応時よりも厳格に、古いSDKの更新を開発者に義務付けているとされます。動画内では「PS5 Pro対応よりも、省電力プレイ対応の方が社内的に優先度が高い証拠」だと主張されています。

これは、初期に発売されたPS5タイトルまでも省電力プレイに対応させる動きであり、「電力制限のある未発表ハード」の存在を強く示唆するものと言えるでしょう。

さらに、開発者向けドキュメントでは、今後は「8スレッド」で動作することを前提にゲームを最適化するよう、強く推奨されているといいます。通常のPS5は最大16スレッドで動作するため、半分のスレッド数を想定している点は注目に値します。

加えて、「将来、新たな動作モードがサポートされ、アプリケーションは異なるCPU構成が利用可能な環境で実行される可能性がある」との記載もあるとのことです。これらを総合すると、「スレッド数がPS5の半分で、省電力プレイを前提とした未知のゲーム機」の姿が浮かび上がってきます

現時点で噂されている新型PSP(開発コードネーム「Canis」)のリーク仕様は、次のとおりです。

  • CPU:Zen 6cコア×4(3nmプロセス)
  • GPU:RDNA 5 コンピュートユニット 12〜20基(1.6〜2.0GHz)
  • RAM:16GB LPDDR5X-7500以上(128ビットバス)
  • 想定消費電力:約15W(TBP)
  • 性能目標:ラスタライズ性能はPS5の約半分だが、RDNA 5の改良によりレイトレーシング性能は上回る可能性
  • 後方互換性:PS5およびPS4対応
  • ストレージ:microSDスロット、M.2 SSDスロット
  • ディスプレイ:タッチ操作対応
  • USB-C:高速充電および映像出力対応(テレビへのドック接続を想定)
  • その他:デュアルマイク、ハプティック振動

製造開始は2027年半ば、発売時期は2027年後半から2028年初頭になるとの噂です

PlayStation Portalがクラウドゲーミング対応によって「PS5なし」でも遊べるようになり好評を得ていますが、ネット接続を必要とせず、どこでもPS5ゲームが遊べる新型PSPを待ち望む声も少なくないのかもしれません。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。

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