自民推薦候補の落選相次ぐ 7人中6人は現職…19日の市長選、「練馬ショック」止まらず

宮崎県小林市長選では、自民党の推薦を受けて3選を目指した現職候補を破り、元市議で無所属新人候補の堀研二郎氏(中央)が、初当選した=19日午後、宮崎県小林市

19日に投開票された全国の市長選で、自民党の推薦する候補の敗北が相次いだ。落選した候補7人のうち6人が現職だった。当選した候補は4人にとどまった。前週の12日には、練馬区長選(東京)で推薦候補が敗北しており、自民にとって衝撃が続く形となった。

19日は、全国で18の市長選が投開票された。そのうち、自民の推薦候補が敗北したのは久喜市(埼玉)、東金市(千葉)、あま市(愛知)、近江八幡市(滋賀)、嘉麻市(福岡)、朝倉市(同)、小林市(宮崎)の7市で、近江八幡市を除く6市は現職だった。自民が推薦した候補の当選は、栃木市(栃木)、山武市(千葉)、津島市(愛知)、豊中市(大阪)の4市にとどまった。

久喜市では、元市議で無所属新人の貴志信智氏(39)が、3選を目指した梅田修一氏(51)=自民推薦=ら2氏を破り初当選した。

東金市では、元市教育委員で無所属新人の山下美紀氏(50)が、3選を目指した鹿間陸郎氏(75)=自民、維新・県組織、国民民主推薦=を一騎打ちで破り初当選した。

あま市では、元市議で無所属新人の八島堅志氏(39)が、5選を目指した村上浩司氏(63)=自民、維新推薦=を一騎打ちで破り初当選した。

嘉麻市では、元市議で無所属新人の佐伯憲子氏(64)が、4選を目指した赤間幸弘氏(63)=自民、公明推薦=を一騎打ちで破り初当選した。

朝倉市では、元市議で無所属新人の中島秀樹氏(62)が、3選を目指した林裕二氏(75)=自民推薦=を一騎打ちで破り初当選した。

小林市では、元市議で無所属新人の堀研二郎氏(41)が、3選を目指した宮原義久氏(63)=自民推薦=を一騎打ちで破り初当選した。

12日の練馬区長選では、自民をはじめ、国民民主、都民ファーストの会、東京維新の会が推薦していた元都議で無所属新人の候補(37)が、「完全無所属」を掲げた学校法人理事長で無所属新人の吉田健一氏(59)=共産と社民が自主的に支援=に敗れた。

自民は3月の石川県知事選、清瀬市長選(東京)でも推薦候補が落選しており、地方選での集票力に陰りがみられている。

拓殖大・丹羽教授「権力集中への無意識のブレーキ」

地方政治に詳しい拓殖大学政経学部の丹羽文生教授(政治学)は、地方選挙で自民の推薦候補が相次いで敗北している現状について、「権力集中に対する有権者の『無意識のブレーキ』がかかった」と分析した。丹羽教授の話は次のとおり。

丹羽文生教授

高市早苗内閣の支持率が高い中で起きているこうした現象は、一見矛盾しているが、必ずしもそうではなく、国政と地方政治の温度差が可視化されたものと見ることができそうだ。

地方選挙は基本的には人物本位だ。国政選挙のように『政党ラベル』が強く作用するものではなく、有権者は候補者個人の経歴やこれまでの取り組み、地域課題への向き合い方などを重視する傾向が強い。与党系でも中央とのパイプだけでは評価されにくい。

石川県知事選に見られたように、国会議員が応援に入るほど「地方の時代に逆行する」と受け止める有権者もいる。特に地方の都市部においては、政党色を薄めた候補の方が幅広く票を取り込みやすいこともある。

支持の中身は冷静に見る必要がある。高市氏は好きでも、地元の自民党が推薦した候補は支持しないという「分離」が起きている。特に地方選挙のように選択肢が多様化する場合、支持は揺らぎやすい。

他方、2月の衆院選の自民圧勝から、反動が出やすいタイミングに差し掛かっている。選挙直後は期待値が高まっているが、数カ月たつと現実への不満が出始める。国政で「1強」が続くと、地方ではあえて異なる勢力を選ぶことで政治的均衡を保とうとする有権者心理が働きやすい。

そうした意味で、一連の地方選挙での自民の推薦候補の敗北は、政権批判というよりも、権力集中に対する「無意識のブレーキ」がかかったこと、そして、「地方は地方で選ぶ」という有権者の意思がより強く示された結果と考えられる。自民も地方での基盤を維持・回復するためには、政権人気に依存するのではなく、地域ごとの課題に向き合う姿勢が問われる。(聞き手 外崎晃彦)

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