宇宙から日本全土を「楽天モバイル」エリア化、2026年10〜12月開始--料金は? 三木谷氏回答
楽天モバイルは4月23日、宇宙から日本全土を楽天モバイルエリア化する「楽天最強衛星サービス」を2026年10〜12月に提供すると発表した。
同社で代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏が発表した。また、部分的なサービスはさらに前倒ししての提供も視野に入れるという。
楽天モバイルの衛星通信サービスは、米国の宇宙スタートアップ「AST SpaceMobile」(AST)の衛星を用いる。同社の創業資金は楽天グループが出資しており、同社の株式の15%を楽天グループが保有している。
すでに商用衛星5機の打ち上げに成功しており、今後も続々と衛星を打ち上げる計画だ。最終的には洋上や島嶼部、過疎地など地球上のあらゆる場所で、スマートフォンによるブロードバンド接続を利用できるようにする。
スマートフォンとの直接通信サービスは、米SpaceXも「Direct to Cell」として提供中。日本でもKDDIが「au Starlink Direct」として展開している。
Starlinkとの違いについて三木谷氏は「S社(Starlink)よりもアンテナの面積が非常に大きい。次回打ち上げる衛星は223平方メートルで、S社比で36倍の大きさになる」と述べた。このため「ある程度は屋内にも浸透する」(三木谷氏)という。Starlinkの場合、スマートフォンとの直接通信は「空が見える屋外」であることが必須となるため、この点はASTのアドバンテージと言える。
さらに三木谷氏は「わかりやすく言えば、ASTの衛星は宇宙に浮かぶ巨大な鏡だ」とも述べた。地上局から発射した楽天モバイルの電波を「電気的に反射」しているだけだという。そのため、StarlinkのDirect to Cellに比べてシンプルな構成で、地上の自社回線とのハンドオーバーもスムーズだという。
地上局は現在福島県に1基だけだが、本サービスの開始時点では3基の地上局で日本全土をカバーする。また、ユーザーが増えればその都度地上局を増強すると三木谷氏は述べた。
通信速度については「YouTube視聴やビデオ通話が可能なレベル」としている。一方で、衛星がカバーするエリア内のユーザー数が多くなると、スループットは低下するという。なお、第2・第3弾の衛星通信サービスでは、より高速な通信が可能になるとしている。
なお、Starlinkは当初は通信内容がテキストなどのやりとりに限定されることから、通信速度面でもASTが優位だと三木谷氏は述べた。
料金について三木谷氏は「まだ悩んでいる」と述べた。一方で災害時には「楽天モバイル以外のユーザーも繋がればいいなと思っている」と述べ「その際にはYouTubeに繋がれると困るので、テキスト通信に制限することになるだろう」とも付け加えた。
「楽天モバイルユーザーは、衛星か地上局かを意識する必要なく、シームレスに衛星につながる」と担当者は説明した