ヘビだって仲間と過ごすし子育てもする 「非社会的」は大きな誤解

2匹のガーターヘビ。ヘビは、これまで考えられてきたよりも、社会的行動を取っていることがわかり始めている。(Eric Woodley)

 緊張すると仲間と寄り添い合う。小さな子どもの世話をし、親戚と一緒に過ごしたり、毎年たくさんの仲間が集まったりする動物がいる。こう聞いて、ヘビを思い浮かべた人はあまりいないだろう。学者たちも、ヘビにこのような習性があるとは考えてはいなかった。

「大きな誤解が2つありました」と話すのは、カナダ、ウィルフリッド・ローリエ大学で動物の社会的認知について研究しているノーム・ミラー氏だ。ひとつは、ヘビは主に反射的に行動するというもの。もうひとつは、人がヘビを見かけるときは1匹だけのことが多いので、ヘビは集団を形成しないというものだ。「そのため、ヘビは社会的な動物ではないと考えられていました」

 しかし、ここ数年のミラー氏などによる研究室や屋外での実験により、ガラガラヘビやニシキヘビなど、多くのヘビが驚くほど豊かな社会生活を送っていることがわかってきた。世界中でさまざまな脅威に直面しているヘビは、長いこと誤解され、過小評価されてきたようだ。

ギャラリー:仲間と過ごし子育てもする、ヘビの知られざる社会生活 写真6点(写真クリックでギャラリーページへ)

2匹のコーンスネーク(Pantherophis guttatus)が一緒に隠れている場所の前を、3匹目が通っていく。(Maggie-Rose Johnston, Noam Miller)

 ワニトカゲは活発な社会活動を行うことがわかっているが、ヘビの社会生活については、最近までほとんど注目されてこなかった。ヘビの社会的行動を研究するのは、ほかの爬虫類と比べてもかなり難しい。

 その理由のひとつは、ヘビが極めて人目を避けたがる点にある。「どこかに隠れていて、見つけることすらできない場合がほとんどです」と、米ラトガース大学で爬虫類の行動を研究しているウラジーミル・ディネッツ氏は話す。

 多くの哺乳類や鳥類は見える場所で生活しているため、研究もしやすいが、ヘビはそうではない。派手な姿をしたり、特徴的な鳴き声を出したりすることもなく、主に嗅覚を頼りに、いつも隠れて過ごしている。

 ヘビの世界は化学物質の痕跡や信号で成り立っている。私たちのように、主に視覚を活用する動物にとっては閉ざされた世界だ。「ヘビを研究するのは、とても難しいのです」とディネッツ氏は話す。

 ミラー氏によると、そのような事情から、爬虫類の社会的行動に興味を持つ研究者は、ガーターヘビの一種(Thamnophis sirtalis parietalis)に注目していた。米国中西部からカナダのマニトバ州にかけて生息しているこのヘビは、卵ではなく子を産み、冬は集団で冬眠する。春に目覚めると、無数のヘビが絡みあう「交尾玉」を形成する。(参考記事:「【動画】「過酷な乱交」でヘビのオスが短命に?」

 学生としてミラー氏の研究室に所属するモーガン・スキナー氏は、「一定の社会的行動を取ることもわかっていました」と話す。詳しく観察するなら、ガーターヘビが適切だと感じた。

 そこで、ガーターヘビがどのように学習するかを調べる実験が始まったが、ヘビに行動を起こさせるのが難しいという問題に直面することになった。「どんなタスクを与えても、ほぼ無関心でした」とミラー氏は話す。

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