AIを戦争に加担させたくない。GoogleのAI部門「DeepMind」従業員が労働組合結成へ

Image: Robert Way / Shutterstock.com

「こんなはずじゃなかった」って思ってるんだろうな…。

Google(グーグル)のAI研究所であるDeepMind(ディープマインド)の従業員は、同社とアメリカ国防総省の関係や、AI製品が戦争で使用される懸念が高まっているのを受けて、投票で労働組合の結成を可決しました。

国防総省との契約への懸念から労組結成へ

去る5月5日、DeepMindのロンドン本社従業員は経営陣に対し、Communication Workers UnionとUnite the Unionを共同代表として承認するよう求める書簡を送りました。

The Guardian(ガーディアン)は、匿名のDeepMind従業員の話として、この投票は4月に実施されたと報じています。Googleが国防総省とのあいだで、機密扱いで同社のAIモデルの使用を許可する契約に署名する準備を進めているとの報道が飛び交うなかでの投票だったそう。Googleは、従業員からの反発などお構いなしで契約に署名しました。

600人超の社員が抗議の書簡を提出

Googleと国防総省のAI契約が報じられる前日には、役員や副社長を含む600人以上の従業員が、スンダー・ピチャイCEO宛の書簡に署名し、同社のAIシステムを機密扱いの軍事用途で使用されるのを許可しないよう強く求めました。

書簡には、次のようにつづられていました。

私たちは、AIが人類に利益をもたらすことを望んでいます。非人道的または極めて有害な方法で使用されるのを見たくありません。これには致死性の自律型兵器や大規模な監視も含まれますが、それだけではありません。

あるDeepMindの従業員はThe Guardianに対し、アメリカによるイランへの攻撃や、トランプ政権とAnthropic(アンソロピック)の確執は、国防総省が「責任あるパートナーではない」ことを示唆していると語っています。

その従業員はこう付け加えます。

私は、国内外を問わず、軍事や監視の用途を通じてAIが権威主義を助長するために利用されることへの懸念から、労働組合に加入しました。組合を結成することで、私たちは労働者が組織化し、発言権を得るための伝統的な道を進んでいるのです。

労組はAIの原則と労働者保護を要求

Communication Workers Unionのテクノロジー部門は、DeepMind従業員からの要求リストも公開しています。そのなかには、より強力なAI原則の策定も含まれています。

また、従業員はGoogleに対し、人々を傷つけるのを目的とした兵器やAIシステム、あるいは人権を侵害する可能性がある監視技術を開発しないと約束するよう求めています。

そして、より強力な内部告発者の保護や、自身の倫理観や道徳観に反する業務を拒否できる権利も求めています。

労組は経営陣宛の書簡のなかで、Googleが自発的な組合の承認を拒否した場合、イギリスの中央仲裁委員会に介入を求め、場合によっては会社側に交渉を強制する可能性があると警告しました。

Googleの反応と広がるAIの軍事利用

Google DeepMindの広報担当者は、この件に関して、米ギズモードの取材に対し、メールで次のように回答しました。

Googleのイギリス本社は最近、UniteおよびCommunications Workers Unionから、Google DeepMindのイギリス本社従業員の労使関係認定を求める書簡を受け取りました。現段階では、組合結成のための投票は実施されていません。当社は、常に従業員との建設的な対話を重視しており、前向きで生産的な職場環境の構築に注力していきます。

従業員側と企業側の「投票」に対する見解がかみ合ってないですね…。

同社は以前、国防総省との契約を擁護していました。

広報担当者は、機密扱いによるAIの軍事利用について、答えになっているかどうかは別として、次のように回答しています。

私たちは、国家安全保障を支援するAIサービスやインフラを提供する、主要なAI研究所やテクノロジー企業、クラウド企業からなる広範な共同事業体の一員であることを誇りに思います。

当社は、機密・非機密を問わず、政府機関のプロジェクトを支援し、物流、サイバーセキュリティ、外交翻訳、艦隊整備、重要インフラの防衛といった分野で専門知識を活用しています。適切な人間の監督なしに、国内の大規模な監視や、自律型兵器にAIが使用されるべきではないという官民の合意を引き続き支持します。

こうした動きは、シリコンバレーの大手テック企業が、自社のAIモデルを米軍の機密業務に使用させることにますます同意するようになってきたなかで生まれています。

その流れとして、5月1日には、国防総省がMicrosoft(マイクロソフト)、Nvidia(エヌビディア)、Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)、Reflection AI(リフレクション・エーアイ)が、機密扱いのAI業務に関して契約を締結したと発表しました。

これによって、Google、OpenAI(オープンエーアイ)、SpaceX(スペースエックス)に加えて、機密の軍事プロジェクトに参画する主要AI企業が7社になりました。

そろそろサイバーダイン社が加わりそうな感じですかね。

Reference: Reuters

関連記事: