「違反じゃなかった…」でも警察に切符来られる事案多発、なぜ? 鹿児島県警が誤って交通取締り139件…交通規制と道路標識が一致せず
鹿児島県警は、県の公安委員会が定める交通規制と実際の道路標識などが一致せず、誤って交通違反を139件摘発していたと発表しました。どのような事案だったのでしょうか。
交通規制と標識が異なる事例は鹿児島県内で約3000件も!
2025年8月13日に鹿児島県警は、県の公安委員会が定める交通規制と実際の道路標識などが一致せず、誤って交通違反を139件摘発していたと発表しました。
なお県内には、交通規制と標識が異なる事例が約3000件もあるようです。
では、一体どのような事案だったのでしょうか。
道路上には「一時停止」や「駐車禁止」など、交通規制を示したさまざまな道路標識がありますが、このような標識は都道府県の公安委員会が規制内容を決定した後、その内容に合致するものが設置されています。
なお、きちんと必要な手続きを経ていないものや交通規制の内容が間違っているものなどは標識の効力がないとみなされます。
そのような中、鹿児島県警は8月13日、県の公安委員会が決めた交通規制と実際の標識が異なる事例が県内で2973件あったと発表しました。
さらに、これら交通規制の不一致により鹿児島市と鹿屋市、薩摩川内市において誤って交通違反を139件取り締まっていたことも明らかにしています。
主な事例として鹿児島大学付近にある「法文学部前交差点」では、取り締まりに必要な公安委員会の決定がおこなわれていない状態で原付バイクの二段階右折の違反(交差点右左折方法違反)を122件検挙していました。
交通規制内容と標識の食い違いは2021年3月に発覚し、その後県警が2021年10月から2025年3月まで県内全域の標識を調査していました。
結果として、誤った取り締まりにより1人が免許取り消し、2人が免許停止の行政処分を受けたほか反則金約83万円が徴収されていましたが、2024年までに該当者に反則金の全額返還と行政処分の抹消がおこなわれたということです。
交通規制の不一致が発生した原因について県警は、公安委員会の決定に対する認識不足や道路管理者との連携不足があったと謝罪した上で、「再発防止を徹底し、県民の理解を得られる取り締まりをしていきます」とコメントしています。
このニュースに対してインターネット上では「この手の話は全国でも聞かれるので問題意識を持つべき」「取り締まりを受けた時は大切な時間も奪われますしストレスも受けるし実害もあるので今後の取り締まりに十分注意を払って欲しい」などの声が寄せられました。
実は過去にも標識の不備による交通違反の誤摘発は発生しており、2022年には長野県警が誤った標識にもとづいて交通違反を取り締まっています。
具体的には「指定方向外進行禁止」の標識の不備で、交通規制の対象が「自動車」のみだったところ、県警が誤って「自動車・原付」の補助標識を設置し、本来取り締まる必要のない原付バイクの男性を検挙したということです。
そのほか2023年には、横断歩道標識が車両の運転手から見えない位置に設置されている道路において交通違反を取り締まり、40人の運転手を摘発したとして、奈良県警が謝罪する事案も発生しました。
道路交通法施行令第1条の2第1項では、公安委員会が交通規制をする際は、信号機や標識などを歩行者や車両、路面電車から見やすいように設置するよう義務付けています。
そのため運転手から見えない標識には交通規制の効力がなく、標識に従わなかったとしても交通違反に当たりません。
これは標識の設置不備に限らず、街路樹が生い茂って標識を覆い隠しているような場合でも、標識の効力がないとみなされる可能性があります。
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全国では不備のある標識にもとづいて交通違反の取り締まりをおこなう事例がたびたび発生しています。
運転手にとって取り締まりは時間や労力を要するものであるため、今後同様の事案が起きないよう、各関係者が問題意識を持って再発防止に取り組む必要があるといえるでしょう。
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