2月CPI次第で不安定な値動き加速も=今週の米株式市場
[ニューヨーク 7日 ロイター] - 今週の米株式市場は、12日に発表される2月の米消費者物価指数(CPI)次第で、不安定な値動きが加速しかねない。
投資家を悩ませているのはトランプ政権による関税政策や、期待外れの米経済指標だ。一方で、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ幅が拡大するとの期待感が唯一の明るい材料になっている。
しかし2月CPIでインフレが高止まりし、FRBが金利を高めに維持せざるを得ない状況がうかがえれば、こうした期待も後退してしまう。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア・ポートフォリオマネジャー、ブライアント・バンクロンクハイト氏は「強いCPIは市場をおびえさせる公算が大きい。市場はなおFRBに救いの手を差し伸べてほしいと思っている。(だが)物価上昇率と予想物価が下がるまで、FRBは動きを封じられる」と述べた。
投資家にとっては、1月CPIの前月比上昇率が0.5%と2023年8月以来の高い伸びになったことも記憶に新しい。
ロイター調査によると、2月CPIの前月比上昇率は0.3%と予想されている。
BNYの米州マクロストラテジスト、ジョン・ベリス氏は「株式市場は強いCPIを好感しないだろう。なぜなら市場に織り込まれているFRBの利下げ観測を弱めるからだ」と指摘した。
投資家の間では、成長鈍化と物価高が同時に進むスタグフレーションへの警戒感もじわじわと広がりつつある。
ベリス氏は、CPIでインフレ高止まりが読み取れれば、スタグフレーションが現実的な懸念となってもおかしくないとの見方を示した。
BCAリサーチのチーフ米国株ストラテジスト、イレーネ・タンケル氏は「われわれが経済政策や貿易政策に関する確実性を得られない以上、ボラティリティーはしばらく収まらない」と述べた。
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