【試乗記】日産新型リーフ 好発進、8年ぶり全面改良…航続距離・静粛性、向上
日産自動車は、8年ぶりの全面改良となる新型の電気自動車(EV)「リーフ」を今年1月に発売した。EV先駆者として蓄積してきた知見を結集し、航続距離と車内の静粛性が大幅に向上。経営不振が続く中でも「技術の日産」を体現した一台だ。(大竹弘晃)
1月に発売された新型「リーフ」(2月下旬、横浜市で)先導役
初代リーフは2010年、世界初の普通乗用車サイズのEVとして登場。シリーズ累計で約70万台を販売し、EV普及の先導役を果たしてきた。この15年で特に航続距離が目覚ましい進歩を見せる。発売当初のモデルで比較すると、初代の200キロ・メートル、2代目の400キロ・メートルに対し、最新型となる3代目は702キロ・メートル(航続距離が最も長いグレード)に達する。
搭載バッテリー(車載電池)の容量が40キロ・ワット時から78キロ・ワット時に拡大したほか、空気抵抗を抑える車両設計や、モーターの発する熱を暖房に活用するシステムを導入した。
2月下旬、横浜市中心部でハンドルを握った。スタイリッシュな外観で、横一文字に走るヘッドライトは近未来を感じる。従来のハッチバック型から最近の流行に合わせてクロスオーバー型に変わった。車内は運転席周りにあった空調設備をボンネット下に移し、足元も広々としている。
ガソリン車しか運転経験がない記者は、滑らかな加速に驚かされた。あえて言えば、体が宙に浮きながら進むような感覚である。
パワフル
パワフルな走りは高速道路で本領を発揮する。合流時にあっという間に時速80キロ・メートルに達し、走行時の揺れもほぼ感じない。EVは走行時のモーター音が気になりがちだが、新型リーフは振動を抑えたモーターが搭載され、ほとんど耳に届かなかった。
日産の運転支援技術で最新モデルの「プロパイロット2.0」も試した。新型リーフにはオプションで搭載でき、分類上は自動運転レベル2だが、レベル3に近い技術を持つとされる。直ちにハンドル操作できる状態ならば、手放し運転も可能だ。前方に速度が遅い車がいると、自動で車線変更を提案してくれる。手を離すのに勇気が必要だったが、何度か車線変更を繰り返すと、不安は安心に変わっていった。
搭載カーナビも充実の一途だ。日産が蓄積したEVの走行データと、地図サービス「グーグルマップ」の交通量や渋滞情報を組み合わせ、目的地までのバッテリー残量をほぼ正確に予測できる。近くの充電スポットも表示され、EVの弱点となる遠出ドライブ時の電池切れの不安も和らぐ。
今年2月時点の注文台数は約6000台と、好調な走り出しという。3月には従来の最も安いモデルよりさらに80万円安い438万円(税込み)からの廉価グレードを発売した。政府のEV補助金129万円を活用すれば、実質負担額を約300万円に抑えられる。
今年、スズキやSUBARU(スバル)などライバル各社も新型EVを投入し、販売が低迷する国内のEV市場は盛り上がる可能性がある。日産のマーケティング担当者は「新型リーフをきっかけに国内でEVを普及させたい」と話す。
日産は、26年3月期の連結決算で6500億円の最終赤字が見込まれる。自慢の技術を詰め込んだ3代目リーフが、反転攻勢への一台となるのか注目される。
EV3代 経験生かす…開発責任者
開発責任者の磯部博樹氏に話を聞いた。
――開発方針は。
EVならではの気持ちよい走りを実現し、ずっと乗り続けたくなる車を目指した。静粛性やアクセルを踏んだ分だけ加速する操作感にもこだわった。
――開発で苦労した点は。
テストコースを何度も走り、加速時やハンドルを切った時などに感じる改善点について 喧々囂々(けんけんごうごう) の議論を重ね、一個一個詰めていくのが大変だった。
――購入を検討する人に伝えたいことは。
航続距離や充電性能に関する不安を感じずに走行を楽しむことができる。3代にわたってEVを展開しているのは世界で日産だけだ。我々の蓄積した経験とデータが生かされている。