トランプ氏の移民政策、米経済成長を圧迫へーゴールドマン
- 移民流入75万人に急減へーGDP成長率を最大0.4ポイント押し下げ
- より極端な政策なら影響深刻化の恐れーインフレへの影響は限定的
トランプ米大統領の移民政策は、米国の経済成長と労働力の伸びに幾分ネガティブな影響を及ぼす一方、インフレへの影響はより限定的になる。ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストが示した見通しだ。
10日に発表された調査リポートのベースシナリオによると、米国への移民純流入数が年間75万人に急減し、今年の国内総生産(GDP)成長率を0.3-0.4ポイント押し下げる見込み。米国勢調査局によると、昨年の移民純流入数は280万人だった。
ゴールドマンは、移民の構成も変化すると予想。年間で約50万人に上る強制送還者が亡命希望者やその他の入国者を相殺し、不法移民は差し引きゼロになるとしている。
トランプ氏はすでに公約通りの移民取り締まりを開始し、拘束と強制送還を強化。コロンビアやインドなどに多数の不法移民を送り返している。
ゴールドマンのヤン・ハチウス氏が率いるアナリストらはリポートで、さらに極端なケースとして、規制により不法移民が「仕事に行くことを恐れるようになったり、雇用主が移民の採用を恐れるようになったり」した場合、経済への影響はより深刻になると想定。ただ、全体的にはインフレへの影響は限定的だとした。
ゴールドマンの推計によると、不法移民は全労働力の約5%を占めており、造園業や建築サービス業など特定の業界ではその割合が約20%まで高まるという。
アナリストは「これらの労働者を突然失えば、その業界の多くの企業に大きな混乱が生じ、インフレへの影響もより大きくなる可能性がある」とコメントしている。
過去5年間で500万人余りの外国人労働者が米国の労働市場に参加したことで、同市場は驚異的な成長を記録し、賃金増にも貢献した。だが、ゴールドマンによると、今後はその影響が緩和するという。
原題:Goldman Sees Trump Immigration Moves Shaving US Economic Growth(抜粋)