だんじり横転で2人死亡事故に「自己責任」の声も…主催者の法的責任は?弁護士が解説(弁護士ドットコムニュース)
画像はイメージです(笹尾秀一 / PIXTA)
大阪府の泉州地域で10月10日、秋祭りのだんじりが相次いで横転し、男性2人が死亡しました。
報道によると、同日午前11時ごろ、泉佐野市長滝の交差点で、右折しようとしただんじりが横転しました。だんじりの側面に乗っていた51歳の男性が下敷きになって亡くなったそうです。同じ日の午後1時20分ごろには、泉大津市宮町の交差点でも、右折しようとしただんじりがバランスを崩して横転しました。こちらも側面に乗っていた48歳の男性が下敷きになって亡くなりました。どちらの事故でも、亡くなった2名の他、複数のけが人も出ています。だんじり祭りは、これまでも死亡事故がたびたび発生するなど、安全性を危惧する声も上がっていました。SNSでは「そういうリスクがあることがわかって参加したのでは?」「(何かあっても責任を問わない)誓約書を書いてるでしょ」といった「自己責任論」も見かけます。今回の祭りで参加者が誓約書を出していたかどうかは報じられていませんが、誓約書があった場合、主催者の責任は問えなくなるのでしょうか。簡単に解説します。
Page 2
今回の祭りで、参加者が誓約書を出していたかどうかは報じられていません。一般論として、参加者に誓約書を求めている町会はありますが、こうした誓約書があっても、主催者側の責任がすべてなくなるわけではありません。小さなけがならともかく、亡くなることにまで同意していたといえるのか、という問題があるからです。法律上も、人の命や体についての責任を、故意や重大な過失がある場合まで免除する約束は、公序良俗(社会の秩序や道徳)に反して無効と考えられます(民法90条)。人の命に関わる事故では、免除の約束が無効とされる可能性があり、この場合遺族は主催者側に損害賠償を求めることができます。また、誓約書があるからといって、主催者が安全対策を怠ってよいことにはなりません。主催者側には、予見できる事故の危険を防ぐため、安全対策を尽くす義務があると考えられます。もっとも、そのためには、主催者側が安全への配慮を欠いていたと認められる必要があります。他方で、本人の同意に何の意味もないというわけでもありません。
本人が危険を承知で参加していたことは、賠償額を減らす「過失相殺」(民法722条2項)の場面で考慮されることがあります。