「被害者が歩いて入れる拠点に」歌舞伎町に女性センター計画、Colaboが10億円の寄付募る

少女や若年女性の支援に取り組む一般社団法人「Colabo(コラボ)」は、東京・新宿歌舞伎町に「女性人権センター」を建設する計画を発表した。土地の取得費用や建設費など10億円の寄付を呼びかけており、2030年の開設を目指すという。

コラボ代表理事である仁藤夢乃さんらは12月3日、東京・霞が関の厚労省記者クラブとオンラインで会見を開いて、「歌舞伎町には全国から、虐待や貧困、障害など複合的な困難を抱えた少女たちが集まってきている」と指摘。

そのうえ「(彼女たちは)公的な支援が届かないまま、性売買をさせられている」と述べ、若年女性たちのシェルターや自立支援の拠点となる「女性人権センター開設」の必要性をうったえた。

●「法律が支援につながっていない」

仁藤さんはこの日の会見で、歌舞伎町に集まる少女たちの「低年齢化」が進んでいると説明。公的支援が行き届かない中、歌舞伎町では少女たちが狙われ、性的搾取の被害に遭うケースが後を絶たないと述べた。

また、現行法では、18歳未満の少女を買春することは禁止されており、買春した側は処罰される。しかし、実際の現場では、買春側の摘発や被害者の保護につながらない場面が多く、「制度と実態の乖離」を指摘した。

また、2024年に施行された「女性支援法」については、支援の枠組みは整備されたものの、それ以前から「コラボをはじめとする若年女性支援団体に対する深刻なデマや誹謗中傷、妨害行為が繰り返され、活動を萎縮させられています」と述べた。

これらの状況を踏まえ、暴力に屈しない継続的な活動拠点として、今回のセンター建設プロジェクトを立ち上げたという。

●「公的機関の支援のハードル高い」

会見には、プロジェクトに賛同する日本大学大学院の鈴木秀彦教授(危機管理学)も登壇した。

鈴木教授は、公的機関の支援のハードルの高さや、行政の都合や政治に左右されやすい点を指摘し、効率的で恒久的なセンターの必要性を強調した。

また、実際に養護施設や医療機関などで聞き取った子どもたちの声として「話を聞きに来る人はいない」「意見を聞かれたけど何も変わらない」といった例を紹介し、当事者とつながることが大事だとうったえた。

また、法政大学名誉教授で、コラボ理事の田中優子さんは、江戸時代から日本社会に残る性的搾取の歴史に触れて「女性は家族制度を守るために売買春を押し付けられてきたが、そうした構造は今も残っています。女性たちが安全に学び、つながれる場所が必要」と語った。

●「被害者が歩いて入れる拠点を目指す」

計画によると、建設される「女性人権センター」は、5階建ての施設となる予定だ。フロアごとに、一時保護シェルター、コラボの支援拠点、若手女性活動家の育成スペース、反性搾取ライブラリー、10代に無料で食事を提供する「Tsubomiカフェ」といった機能が構想されている。

コラボは「新宿歌舞伎町に立地することで、買春の被害者が歩いて入れる支援拠点を目指す」としている。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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