NY市場サマリー(10日)ドル高、株安 利回り急上昇
<為替> ドルが上昇した。LSEGのデータによると、好調な米雇用統計を受け、市場は連邦準備理事会(FRB)が今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを一時停止するという見方を完全に織り込んだ。
ラボバンクのFX戦略担当ジェーン・フォーリー氏は「12月の米雇用統計は好調で、FRBが利下げを急ぐ必要性はなくなった」と指摘。さらに、ラボバンクはFRBの利下げが年内1回にとどまると予想していたが、トランプ次期大統領が早期に関税や不法移民対策などに乗り出せば、「その機会さえ完全に失われる可能性がある」と述べた。
主要通貨に対するドル指数は一時22年11月以来の高値を付けた。終盤の取引では0.4%高の109.68。週足では6週連続の上昇となる勢い。
ドルはその後下げに転じ、終盤は0.1%安の157.845円近辺で推移した。週足では0.4%上昇する見通し。
ユーロ/ドルは0.5%安の1.0244ドル。一時22年11月以来の安値に沈む場面もあった。週足では2週連続で下落した。
ロイターの調査によると、アナリストらの多くが、25年に1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)に到達すると予想している。
ポンド/ドルも23年11月以来の安値を付けた後、0.8%安の1.2208ドル。
NY外為市場:
<債券> 米10年国債利回りが2023年11月以来の水準に急上昇した。12月の非農業部門雇用者数が25万6000人増加と市場予想の16万人増を上回り、失業率も低下したことを受けた。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、ピーター・カルディロ氏は「雇用統計は債券利回りをさらに押し上げるだろう。労働市場は弱まる兆候を見せていない」と述べた。
市場は現在、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の引き下げを少なくとも6月まで待つと予想している。雇用統計の発表前は、早ければ5月にも利下げが行われ、年末までに2度目の利下げが行われる可能性は約50%と予想していた。
ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、アンジェロ・マノラトス氏は「市場ではFRBが長期の利下げ休止に踏み切る可能性があるとみられている。データが軟化し始めるまで債券は弱気基調が続く可能性がある」と述べた。
指標となる10年国債利回りは4.79%、30年国債利回りは5.005%と、ともに23年11月以来の高水準となった。
金利に敏感な2年債利回りも4.39%に上昇し、24年7月以来の高水準を付けた。
2年債と10年債の利回り格差は約4ベーシスポイント(bp)縮小し、38bpだった。
米金融・債券市場:
<株式> 下落して取引を終えた。12月米雇用統計が好調だったことでインフレ懸念が再燃し、米連邦準備理事会(FRB)が今年の利下げに慎重になるとの見方が強まった。
主要株価指数は2週連続で下落して取引を終えた。
CFRAリサーチの市場ストラテジスト、サム・ストーヴァル氏は、株式市場を取り巻く環境は「かなり厳しいものになる可能性がある」と述べた。
市場は現在、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の引き下げを少なくとも6月まで待つと予想している。
S&P総合500種主要11セクターのうち大半が下落した。
これも市場の軟調ムードに拍車をかけた。
市場の次の注目は15日に発表される消費者物価指数(CPI)となっている。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を4.24対1の比率で上回った。ナスダックでは値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.32対1の比率で上回った。
米取引所の合算出来高は162億4000万株。過去20営業日の平均は123億1000万株。
米国株式市場:
<金先物> 米株安を背景に投資家のリスク回避姿勢が強まる中で買われ、4営業日続伸した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比24.20ドル(0.90%)高の1オ ンス=2715.00ドル。中心限月の清算値ベースで昨年12月中旬以来、1カ月ぶり の高値となった。週間では2.27%高。
NY貴金属:
<米原油先物> 米英両国による対ロシア制裁強化の報を受け、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比2.65ドル(3.58%)高の1バレル=76.57ドルと、昨年10月上旬以来約3カ月ぶりの高水準。週間では3.53%上昇した。
NYMEXエネルギー:
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