老いと孤独に向き合う近藤正臣のドキュメンタリー放送、妻亡きあとをどう生きるか
ドキュメンタリー「妻亡きあとに~近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし~」が3月20日8時からNHK BS、22日18時30分からNHK BSプレミアム4Kで放送される。
ドラマ「柔道一直線」や大河ドラマ「龍馬伝」、連続テレビ小説「カーネーション」など数多くの作品に出演してきた俳優・近藤正臣。40代で訪れた岐阜・郡上八幡の自然に魅せられ、8年前に妻と移住した。釣りをしながら穏やかな晩年を過ごすはずだったが、妻が認知症を発症。里山でワンオペ介護に追われる中、自身も腰の手術を受けるなど過酷な日々を送る。そして一昨年、56年間連れ添った妻を亡くし一人暮らしとなった。
伴侶を失った高齢者は、その後の人生をどう生きるのか。番組では、“老い”と“孤独”に向き合う83歳の近藤に長期間密着。深い喪失感を抱えながらも郡上八幡の自然や地域の人とともに自分らしい生き方を模索し始める、1人の老齢男性の日々を見つめた。
ディレクターの小久保美葉子は「いま、ひとり暮らしのご高齢の方は、全国津々浦々の地域社会にいらっしゃいます。そして、それぞれの当事者や関係する方々が、日々難しい問題に直面されていると思います。そんな方々に、静かに寄り添い、ひとりでも多くの人に、お届けできれば…と願っております」と語った。
妻亡きあとに~近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし~
NHK BS 2025年3月20日(木・祝)8:00~8:59NHK BSプレミアム4K 2025年3月22日(土)18:30~19:29
小久保美葉子(担当ディレクター)コメント
番組立ち上げのきっかけ
近藤さんは釣りが大好きで、40年間通い続けた岐阜県郡上八幡を終の住処と決め、数年前に妻と二人で移住したのは知っていました。釣りをしながら山や川での生活を楽しみ、穏やかな晩年を過ごしているはず──人生の終盤に自然の中で暮らすことを選んだ、そんな生活をカメラに収めたいとご連絡すると、お返事の声は思ってもみないものでした。「ヒロさんが亡くなってしまった」「妻がいないのが不思議、今は困り果てた“ただの老人”です」と、力無い声…。実はその1か月前に、長年連れ添った妻の裕子さん(ヒロさん)が亡くなっていたのでした。近藤さんは食欲も無くなり、体重は6キロ落ちたといいます。「俳優もやめた。もう取材なんて無理。それでもいいなら…遊びに来るなら…来て」とりあえず、私たちはカメラを持たずに、郡上八幡で近藤さんに会うことになりました。
パートナーを亡くした83歳の一人の男性が、“その後”をどう暮らし、どう生きていくのか──その姿を見つめることで、いま、高齢でひとり暮らしをしている方々への様々なヒントがもらえるのではないか。そして、自分もそうなった時に、何を覚悟しておかなければならないのかも教えてもらえるのではないか…近藤さんとお会いしてから1年後、取材が少しずつ始まりました。