米国は「軟化」したか? バンス副大統領「イランは戦争終結のためウラン濃縮を削減するべき」を読み解く #エキスパートトピ

米バンス副大統領(2026.10.6)。筋金入りの「米国第一」(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

米バンス副大統領は7日、英ロイターに「イランは戦争終結のためウラン濃縮能力を意味のある形で削減させるべき」と述べた。

これを米CBSは「要求を軟化させた」と報じた。

これまでトランプ政権はウラン濃縮を一切認めないと主張してきた。また7日、ルビオ国務長官は記者団に「イランが合意に至る機会を何度も失ってきた」「ホルムズ封鎖によってイランは壊滅状態」と強調した。

こうした強硬なスタンスと比べると、バンスの発言は「濃縮“削減”で合意できればまだ交渉の余地はある」という文脈で理解できるため、やや穏当なものともいえる。

ココがポイント

Vance says Iran must reduce nuclear enrichment

マルコ・ルビオ米国務長官は7日、イランが(中略)「崩壊状態に陥っている」と付け加えた。出典:AFP=時事 2026/10/7(水)

中東情勢を散発的かつ小規模な戦闘と表現したことは(中略)政権がこの戦争を「過去のもの」として扱おうとしている表れと言える出典:CNN.co.jp 2026/9/4(金)

“The US is trying to soften its stance(後略)出典:Al Jazeera 2026/10/7(水)

エキスパートの補足・見解

イラン戦争に関する限りトランプ政権の主要閣僚のうちバンスは慎重派と呼べる。筋金入りのMAGA(米国第一論者)で、主戦派のルビオやヘグセス国防長官とは立場が異なるからだ。

たとえば9月初旬、バンスは現状を「戦争と呼べない」と述べ、今後の攻撃の可能性にも触れなかった。ルビオやヘグセスは再三、中間選挙後に攻撃再開があり得ると述べている。

MAGAにさえトランプ離れが加速するなか、バンスは支持者の繋ぎ止めに腐心しているといえる。バンスは2028年大統領選挙への立候補も取り沙汰されているのでなおさらだろう。

ただし主戦派のトーンが衰えないなか、バンスの考え方が政権全体で共有されるかには疑問もある。

さらにたとえトランプ政権が「ウラン濃縮の削減」に傾いても、イランが同意するかは別問題だ。

英ランカスター大学のサイモン・メイボン教授は米国に軟化の兆候があるとしたうえで、「イランにとって優先事項はむしろホルムズ再開や海外資産の凍結解除で、それらなしに核の協議に応じない」と分析する。実際これまでのところバンスのコメントにイラン首脳部からの反応はない。

米国とイランそれぞれが交渉を模索しているとしても、その道のりはいまだに遠いといえる。

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