ヒューリック杯棋聖戦 杉本和陽六段がタイトル初挑戦 声震わせ「くさらず良かった」
永瀬拓矢九段との対局に臨む杉本和陽五段=25日午前、東京都渋谷区の将棋会館(鴨川一也撮影)
将棋の藤井聡太棋聖(22)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将=への挑戦権を懸けたヒューリック杯第96期棋聖戦(産経新聞社主催、ヒューリック特別協賛)の挑戦者決定戦が25日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、先手の杉本和陽五段(33)が永瀬拓矢九段(32)に165手で勝ち、藤井棋聖への挑戦権を獲得した。
杉本五段はタイトル戦初登場。同時にタイトル初挑戦の昇段規定も満たし、同日付で六段に昇段した。
杉本六段は東京都大田区出身、米長邦雄永世棋聖門下。今期は1次予選、2次予選と勝ち上がり、初の決勝トーナメントだった。勢いそのままに1回戦で前期挑戦者の山崎隆之九段(44)を破ると、挑戦者決定戦に駒を進めた。劣勢が続いたこの日も、持ち前の粘り強さを発揮。最後は二転三転する大熱戦を制し、五番勝負への切符をつかんだ。
永瀬拓矢九段(右)に勝利し、感想戦で対局を振り返る杉本和陽六段=25日午後、東京都渋谷区の将棋会館(納冨康撮影)
棋聖挑戦を決めた杉本六段は「棋士になったとき、自分がタイトル戦に出るというのは想像しがたい部分があった。くさらずやってきて良かった」と声を震わせた。
棋聖戦五番勝負は6月3日、栃木県日光市の「日光金谷ホテル」で開幕する。
永瀬九段の3度目の棋聖挑戦はならなかった。