本当の痛みはこれから、20世紀初頭からの市場理論が株式投資家に警告
1世紀前から定着している市場のセオリーが、すでに打撃を受けている投資家に本当の痛みはこれからだと告げている。
ダウ理論は、ダウ工業株30種平均の方向は運輸株によって裏付けられない限り持続しないというもので、同時に運輸株の方向性持続もダウ平均の裏付けが必要だというセオリーだ。13日の終値で見ると、運輸20銘柄で構成するダウ運輸株平均は昨年11月の高値から19%下げた。個人消費と工業セクターの需要を測るバロメーターであるこの指数は、いわゆる弱気相場の領域に近づいている。
一方のダウ平均は昨年12月の過去最高値から9.3%下げ、これと合わせてみるとダウ運輸株平均は株式市場全体に憂慮すべきサインを送っている。株式市場は数日前から、景気懸念の深まりとトランプ政権による過激な関税政策に打ちのめされている。
「リスク指標をチェックすると、マーケット全般に良くない状況が分かる」とストラテガス・セキュリティーズの上場投資信託(ETF)&テクニカルストラテジスト、トッド・ソーン氏は述べた。
同氏によれば、2本のダウ指数が浮き彫りにしているのは、市場の異なるセクターから弱気シグナルが急速に発信されている現状だ。住宅建設と半導体製造などの工業セクターで急激な落ち込みが見られると同氏は続けた。
Dow transports index heading for worst week since September 2022
Source: Bloomberg
しばらく前から、投資家はマクロ環境の不透明性が企業および消費者に与えかねない打撃を懸念している。航空業界と小売業界では需要の弱さを理由に、業績不安が鮮明になった。
米航空・小売り業界、業績予想下方修正相次ぐ―個人消費減速受け (1)
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシニアアナリスト、リー・クラスコウ氏は「大統領選挙後に生まれたアニマル精神は下火になり、関税がインフレと米経済活動に与える潜在的な打撃への悲観が強まった」と今週のリポートに記した。
「経済の過渡期は貨物需要には良くない」とクラスコウ氏は、トランプ大統領が週末に述べた「過渡期」という表現を用いて説明した。
ダウ理論に対しては、近年では有益性が落ちているとの批判もある。経済の構成に変化が生じ、今では工業・製造業ではなく、サービスとテクノロジーが大きなけん引役だからだという。
それでも株式市場ではS&P500種株価指数が調整入りし、運輸株は急落、週間での指数は2022年9月以来の大幅低下に向かっている。もっと大きな苦境が待ち受けていることを示唆している。
テクニカル戦略上、この2つの指数が下げている状況は売りのタイミングを意味する。LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンキスト氏は最新の売りでダウ運輸株平均が昨年安値を割り込んだことに留意を促した。テクニカル分析では重要な節目に相当する。
「さらに悪いことにダウ理論のもう一つの指標、ダウ工業株30種平均も反転し、1月の反落局面に付けた安値を下回ったことだ。これでマーケットの主要トレンドがもはや上方向ではないことが確認され、売りシグナルの欄にチェックマークが記入された」と述べた。
原題:Market Indicator From Early 1900s Is Blaring an Alarm for Stocks(抜粋)