川口市に全国初「外国人政策対応センター」構想 入管や県警の窓口を一体化 国へ支援要望 「移民」と日本人

平口洋法相(中央)へ要望書を手渡す自民党川口議員団の議員ら=12月4日午後、法務省

在留外国人が一般市町村で全国最多の埼玉県川口市で、外国人政策にワンストップで対応する市の行政機関「(仮称)川口市外国人政策対応センター」の整備構想を地元自民党議員団が提起し、4日、平口洋法相と小野田紀美外国人共生担当相へ国の支援を求める要望書を手渡した。出入国在留管理庁や警察の窓口も設置する構想で、実現すれば全国初の行政機関となる。

日本人と外国人の双方に対応

新たな行政機関は「(仮称)川口市外国人政策対応センター」。要望書は、市内でトルコ国籍のクルド人らの一部と地域住民の軋轢が表面化していることなどを念頭に、「外国人の増加と集住化を踏まえ、地域の多様な課題に迅速・的確に対応するため新たにセンターの設置を検討している」と説明。

センターには市の市民生活支援部門に加え、入管庁など国の関係機関や県警の窓口を一体的に配置し、連携や協働を強化したいとしている。

この日、地元選出で、自民党外国人政策本部の本部長を務める新藤義孝元総務相と県議2人、市議10人、奥ノ木信夫市長が「自民党川口議員団」として法務省と内閣府を訪れ、平口氏と小野田氏へそれぞれ要望書を提出。その後に記者団の取材に応じた新藤氏によると、いずれも前向きな反応だったという。

新藤氏は「地元行政と入管、警察が一元的に対応することで、不法就労や強制送還などの問題への対応もスピードが上がることが期待できる」。

その上で「川口だけでなく各地域で、仲間を頼って集住することにより問題が起きてしまう」と現状を説明。「そうした問題は局地的に対応させられているが、国の制度を根本から対応しないと解決にはならないものが多い。現在の外国人問題のポイントはここにある」と語った。

外国人比率「10%」に迫る

川口市は外国人比率が上昇を続け、今月1日時点で約8・79%と全国平均の約3倍に上る。前年同月の約7・89%から1年で0・9ポイント上昇し、実数で5578人増えており、欧州の先例から社会の分断や政治の混乱が懸念される「10%」に迫る状況となっている。同時期に日本人住民は4696人減っている。

要望書は、地域社会の安心・安全とコミュニティーを揺るがす事案の具体例として、一部の外国人による仮放免制度の悪用や不法就労、無免許運転や危険運転、女性への暴行などの凶悪事件を列挙。

また、ごみ出しや騒音など生活マナーをめぐるトラブル、医療費の未払い、日本語指導を必要とする外国人児童の急増に伴う学習環境への影響も課題として挙げた。

この日、新藤氏と法務省などを訪ねた自民川口市議団は、9月の市議会で賛成多数で可決した「不法滞在者ゼロプランの着実な実行などを求める意見書」と「外国人による交通事故の防止と被害者の保護・救済措置を国に求める意見書」に基づく要望書も合わせて提出。

ゼロプランの意見書は、仮放免者の多い自治体に入管庁の機関を設置することを国に求めていた。

「(仮称)川口市外国人政策対応センター」整備へ国の支援を求める要望書の4項目は次の通り。

1.外国人政策に関わる国・県・市の行政機能を一元的に集約し、相談・調整・支援を迅速かつ効果的に提供する総合窓口としたい。

2.川口市の市民生活支援部門に加え、出入国在留管理庁など国の関係機関や県警の窓口を一体的に配置し、連携・協働を強化したい。

3.市民から寄せられる不安やトラブル相談に迅速・適切に対処するとともに、ルールを守る外国人住民への生活支援や法令順守指導、就労相談、教育分野との連携などをワンストップで行える、地域の安心と信頼を構築する拠点にしたい。

4.センターへの相談などを通じて得られた不法就労や不法滞在などの入管法違反事案や、その他の違法・不正事案の情報をもとに、関係機関が連携しながら摘発や取り締まり、改善指導を行い、秩序の保たれた安全・安心な地域社会を堅持するための体制としたい。

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