Game*Sparkレビュー:『鬼武者 Way of the Sword』は剣戟ゲーの歴史に鋭く斬り込む傑作!初見も古参も幻魔と楽しく踊ろう

『鬼武者 Way of the Sword』は約20年ぶりのシリーズ最新作です。

筆者は『鬼武者3』『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』を遊んだ経験があり、体験版の楽しさで期待が跳ね上がったファンのひとりです。

そんな本作を発売に先駆けてプレイする機会をいただいたのですが、過去作を遊んだのが随分と前のことで、特にストーリーや世界観へついていけるのか、と不安もありました。

結論からお伝えすると、本作は新規プレイヤーに近い私でも楽しめる魅力的なストーリーが用意されており、過去作未プレイでも問題なく楽しめる作品でした。

幻魔と呼ばれる敵を一刀両断する爽快感と、良ボスたちと繰り広げるダイナミックな剣戟。集団への立ち回りも、デカブツ相手にタイマン張るのも、そのどちらにも夢中になれる至高のチャンバラアクションに仕上がっています。

本稿は、令和に甦った人気シリーズ最新作『鬼武者 Way of the Sword』のストーリーやアクションなど、筆者が感じた魅力、そして気になる点についてレビュー形式でお伝えします。

なお、今回のレビュー執筆にあたりカプコンからPS5版のコード提供を受けています。

冒頭の通り、筆者は過去作のストーリーをふわっとしか覚えておらず「話についていけるかどうか」に若干の不安を抱いていました。

しかし、本作はキャラクター描写が上手く、それぞれの目的が明確なので、新規プレイヤーでもスムーズに入っていける物語になっています。

宮本武蔵は『鬼武者』シリーズの新主人公でありながら、ある人物によって強制的に取り付けられてしまった「鬼の籠手」を外したい、という動機を持つ人物です。

鬼の籠手によって幻魔に対抗できる力を得た武蔵ですが、「自分の力で剣の道を極めたい」という明確なポリシーから、これを「外道の力」とし、腕との間に刀を差し込んでまで籠手を外そうとします。

過去作において、ここまで鬼の力を否定した主人公はいただろうかと、この時点で物語に興味を引かれました。

一方、体験版にも登場した武蔵のライバル、佐々木巌流は、「幻魔ではなく人の魂を喰らえば強くなれる」とそそのかされ、罪のない人間にまで手をかけてしまいます。

強さを求めて籠手を外そうとする者と、籠手の力を悪用する者。キャラクターの心情や性格がしっかりと描かれることで、武蔵が戦う理由や悪役の存在感が明確になり、自ずと武蔵の剣の道を追いたくなるのです。

『鬼武者』を遊んだことがなくても、全く問題ありません。新しいドラマを観るような感覚で、気軽に参入できます。

そんな武蔵と常に「同行」しているのが、鬼の籠手に住まう謎の女性です。どこか子どもっぽさのある武蔵と対照的に、彼女は品行方正な佇まいと丁寧な口調が特徴的なキャラクターで、主に声で武蔵の行動をサポートします。

武蔵が敵に対し「屁でもねぇな」と乱暴に吐き捨てると、「『取るに足らない』、ですね」と優しく訂正するユーモラスな場面も。正反対なふたりの掛け合いは、道中の小さな癒しになります。時には幻魔たちと戦う最中に「お見事!」「まさに妙技!」と褒めてくれる、応援団のような存在でもあります。

また、幻魔側のキャラクターたちも魅力たっぷりに描かれている点も見逃せません。本作には、卑劣な言動で武蔵(プレイヤー)の神経を逆撫でする、近年稀に見る強烈な悪役が登場します。

人の魂に魅せられてしまった佐々木巌流がどう変化していくのかも見どころですし、剣を重ねるにつれて友情のようなものが芽生える不思議な関係性の敵も登場します。心底ヘドが出そうな奴もいれば、愛嬌があって憎めないヤツも出てくる。

敵キャラクターも個性に彩られており、それが「次はどんなヤツが出てくるんだろう」という物語の引力になっています。

口調がかわいい

ムービーシーンも演出面で印象に残る場面が多く、映像作品として純粋に楽しめるほどのクオリティでした。ストーリー冒頭、武蔵が吉岡清十郎の門下生たちから逃走するシーンでは、雨と泥に塗れながら大立ち回りを繰り広げるアクションで心を一気に掴まれます。武蔵の剣の腕前と、泥くさくもがく力強さが伝わる素晴らしいシーンでした。

ムービー全体を通して、特にキャラクターの表情の演技に強いこだわりを感じます。武蔵は表情豊かなキャラクターで、戦いで睨みを効かせたり、ユーモラスに目を見開いて驚いたり、照れ隠しで困るように眉根を寄せたりと、微細な表情とその変化でキャラクターの心情が伝わります。正直に全部顔に出てしまう様子も、キャラクターとして好感を覚えるポイントでした。

一人の主人公の成長譚として物語がよくできており、エンディングの余韻も含めて素晴らしく、文句のつけどころがありません。

率直に言えば、アクションの楽しさを求めてプレイし始めたので「こんなにストーリーが面白いとは思わなかった」と感動してしまいました。武蔵が鬼の力とどう向き合って行くのか、彼が見つけた「強さ」の境地とは何なのか、ぜひプレイして確かめてみてください。

バトル全体の感想として、宮本武蔵のキャラクター性を反映した、美しさと泥臭さの共存する独自のアクションに夢中になってプレイしました。プレイヤーとしてやれることが多い分、戦いを理解するにつれて面白さが増していく魅力的な構造を持っています。

基本は片手・両手攻撃で攻めながら、敵の体力ゲージや力動ゲージを削ります。力動ゲージをゼロにすると力動崩れ状態となり、雑魚敵を一撃で倒せる「崩し一閃」が発動可能に。複数体の力動ゲージを削ると「連続崩し一閃」も発動できます。

敵を倒すと身体から魂が出現。赤魂は自身の強化材料、黄色は体力回復といった異なる効果を持ち、戦闘の合間や終了後に魂を吸引するのが基本的なアクションの流れとなります。

敵が仕掛けてくる攻撃に対しては、

防御、弾き、受け流し、見切り、一閃

といった各種アクションで対応できるのですが、それぞれに明確なメリットとデメリットが存在します。

防御は基本ノーリスクでダメージを防げますが、主人公の力動ゲージを消費するため、多用すると体勢を崩されて行動不能になり、窮地に追い込まれるリスクがあります。

敵の攻撃に合わせて防御ボタンを押す「受け流し」では、こちらの力動ゲージを消費せずにダメージを防げるほか、相手の体勢を崩し、攻撃チャンスを作り出すことが可能に。受け流しを繰り返すと武蔵は「気焔状態」となり、後述する「鬼ノ武具」の使用に必要な「青魂」をより多く獲得できるようになります。

「弾き」も受け流しと同じく敵の攻撃から身を守る手段ですが、敵は弾かれてもすぐ反撃してくるため、大きな隙を生むことはできません。しかし、敵の力動ゲージを受け流し以上に大きく削れるため、強力な崩し一閃を発動しやすくなるメリットがあります。

しかし、受け流しや弾きは全ての攻撃に使える万能策ではなく、相手の蹴りや体当たりのような攻撃にはあまり効果がありません。体術には「見切り(回避)」が効果的で、見切りを成功させてゲージが貯めると、避けた直後に素早い斬撃を叩き込むことができます。

まとめると、あらゆる防御は、全て積極的な攻撃リソースに転じるのです。

受け身のアクションを使い分けると積極的に攻撃を仕掛けられるほか、結果的にバリエーション豊かな動きを取るようになり、剣戟がよりスタイリッシュな動作へと展開していくのが上手い作りだと感じました。

そして、これらのアクションは、ストーリー進行に応じて段階的に解禁されます。習得したタイミングで積極的に試していくと自然に上手くなれるゲームデザインになっているため、体験版で「技が多くて使いこなせない」と感じた方も安心してプレイできるでしょう。

武蔵は道中の荷車を押して敵にぶつけるなど、使えるものは何でも利用して勝ちにいく戦闘スタイルです。

さらに鬼の力によって「覚醒」すると、アクションの幅が増え、より自分好みの戦い方を模索できるように。例えば、武蔵が「腕覚醒」を習得すると、防御する相手を相撲の突っぱりのような動きで崩せるようになったり、火薬樽を投げつけて爆発させるといった大胆なアクションが行えるようになります。

筆者は「脚覚醒」で習得できる、とある技がカッコ良すぎて深夜にひとり笑い転げそうになりました。覚醒が進行するとより豊富なアクションが楽しめるようになり、主人公を強化する大きなモチベーションになります。

また、武蔵はストーリー進行および探索によって、双刀【二天】や大鎚【地鳴】といった「鬼ノ武具」を獲得します。「鬼力ゲージ」を消費して大技を繰り出せるのですが、前述の受け身アクションのように、鬼ノ武具もメリットで使い分ける面白さがあります。

例えば、双刀【二天】は攻撃時に黄魂を放出させるため、武蔵の体力がピンチの時に役立ちます。強力な打撃を見舞う大鎚【地鳴】は、敵の力動ゲージを大きく削れるため、崩し一閃のチャンスを生み出すのに最適です。

「体力がマズいから双刀を使おう」「もう少しで勝てるから大鎚で一気に攻め立てよう」など、武蔵の状況や戦術で使い分ける楽しさがありました。個人的には、敵の猛攻を縫ってタメ攻撃を叩き込む大鎚がいちばんのお気に入りです。空気にヒビが入るエフェクトと重厚な打撃感が気持ち良すぎて……。

ここ数年で良質な剣戟ゲーが数多くリリースされてきましたが、『鬼武者』シリーズの醍醐味といえばやはり「一閃」でしょう。一閃は、相手の攻撃が当たる直前に攻撃することで大ダメージを与える、爽快かつ強力なカウンター技です。

本作の「一閃」もめちゃくちゃに爽快で、何度繰り出しても飽きない気持ち良さに仕上がっています。敵の攻撃をスッと避けて強烈な一太刀を浴びせる瞬間はたまりません。空間を分割する白刃のエフェクトと、身体の表面から背中まで届くような斬撃音が、迫力ある一閃を見事に表現しています。

特に、刃が敵に届いたコンマ数秒後に振動が伝わる感覚が、剣の鋭さを表現しているように感じてぶっ刺さってしまいました。打ち上げ花火が咲き、少し間を置いて轟音が響くような感覚と言いましょうか……。手応えより先に刀が振り抜かれているスピード感。敵の身体が縦横に両断され、力なく崩れ落ちていく瞬間に、他のゲームでは味わえない格別の爽快感が得られます。

一閃の出しやすさに関しても、厳しすぎず甘すぎない絶妙な調整だと感じました。ゲームをクリアしている現時点で、10回狙って7~8回は一閃が出る感覚です。絶対成功するほど簡単ではないけれど、確実に上手くなってきた感覚も得られる、ちょうどよい判定の厳しさです。

また、一閃の魅力はハイリスクハイリターンな技である点も見逃せません。受け流し、弾き、見切りといったアクションは防御ボタンを押した状態からでも行えますが、一閃だけは例外なのです。防御中に一閃は出せないので、己が身を晒してリスクを背負う必要があります。

刀を構えて攻撃を待ち、当たる寸前に防御を解いて一閃を放つ。

この「身体を開いて迎え撃つ感覚」が、本作の、ひいては『鬼武者』シリーズでしか得られない栄養素のひとつなのだと理解しました。ストーリーの進行に合わせて敵の攻撃も痛くなってくるため、リスクを背負って挑む一撃もますますおもしろくなっていきます。

一閃が当たったタイミングで攻撃ボタンを押すと成功する「連鎖一閃」は、過去作ほどのスピード感ではなくなったものの、「人間がギリ実現できそうな最高速度」でフィールドを駆けながら敵を切り裂いていくのが非常にかっこいいです。敵の真横を駆け抜けながら胴を払い、最後は敵を駆け上がって上空から袈裟がけに一太刀。アクション映画を観ているような、リアルさとケレン味のバランスが見事です。

体験版にて佐々木巌流を幾度となくシバいてきましたが、それに匹敵するか、それ以上に面白いボス戦がたっぷり用意されています。

ボス戦を夢中になって遊ぶなかで特に印象に残っているのは、バトルにおけるモーションの「リッチさ」です。

例えば、「受け流し」ひとつ取っても、頭上から叩きつけられる大斧を防いで横へ振り払ったり、刀を回転させながら絡め取るように跳ね上げるなど、動きのベクトルや重量感に適したモーションがひとつひとつ用意されています。しかも、前後左右どこから攻撃を受けたかによっても受け流しのモーションが変わるこだわりぶり。

同じ攻撃でも、受け流しによって重心が崩されたり、弾きによって後ろへのけ反ったりと、とにかくモーションの豊富さ、抜かりのなさに驚くばかりです。

また、ボスの力動ゲージを削り切って発動する崩し一閃にも、「体力を大きく削る」「魂を多く放出させる」という2パターン以上のアクションが必ず用意されているため、チャンスが到来した瞬間に「どんな技が見られるんだろう」と毎回ワクワクしていました。

近い例で言えば、ボスの掴み攻撃に対して「見切り」を成功させると、武蔵が投げ技や蹴りなどで応戦するのですが、それらのアクションもひとつずつ丁寧に用意されています。

本質的には同じボタン入力でも、繰り広げられる映像がボスによって全く違い、「よく刀一本でこれだけのアクションを用意したな……」と感心しきりでした。筆者は、「ゲームのバトル中に挟まれる映画的演出」をこよなく愛しているため、各ボスで豊富なアクションを見せてくれる点はとても好印象です。

また、ボス戦の難易度については、一般的な「死にゲー」と呼ばれる作品ほどの難しさではなく、プレイヤーの上達に合わせて歯応えが増していく良い塩梅だと感じました。筆者は難易度「剣戟」でプレイしています。

体験版の難易度に対して「簡単すぎる」といった声も多いようですが、本編では武蔵の強化要素も解禁されていない状態であり、プレイヤーのステータスとボス戦の難しさはしっかりとバランスが取られています。中盤から終盤にかけて「散華(ゲームオーバー)」の回数が増えていき、熱中度も高まっていきます。

本作が簡単すぎるということはなく「ちゃんと遊びごたえがある難易度」なので、安心してボス達に挑みまくってください。

ストーリー・バトル共に素晴らしい出来でしたが、コントローラーの振動表現には意図が伝わりにくい瞬間が多かった印象です。

例えば、ムービーシーンでは映像に合わせて強い振動がくるのに対して、肝心のプレイ時にはフィードバックがやや弱めに感じます。

通常攻撃である片手・両手攻撃では一切コントローラーは振動せず、ここ数年にプレイしたソード系のアクションと比べてしまい、やや寂しい感覚になりました。せっかく斬っているのだから、通常攻撃にも多少の手応えは欲しいところ。

バトル中に強い振動が来るのは、ボスの攻撃の受け流しに成功した時です。剣戟の心地よさを大きく左右する「受け流し」は、前述の通りモーションも非常に凝っており、その気持ち良さでプレイヤーに使用を促したい狙いも分かります。

しかし、『鬼武者』シリーズは敵を斬る「バッサリ感」で魅了してきた作品です。「一閃」では振動が得られるものの、作中最強格の技にしては「ぶるん…」と大人しめなフィードバックなので、もう少しインパクトのある手触りにして欲しかったです。

また、メインストーリーやサブストーリーなどで、ある中ボスが何度も登場する点は気になりました。いわゆる良ボスであり、戦っていて非常に面白いのですが、途中で「またこいつか」と苦笑する場面も。同格の敵がもう1~2体ほど用意されていれば、使い回し感も多少は軽減されたように思います。

雑魚敵に関しても、同種のデザイン違い的な幻魔がいるのですが、動きがあまりにも似たり寄ったりで、物語終盤では若干飽きを感じた瞬間もありました。刀ではなく槍を持たせてみる、蹴りやパンチの動きに違いをつくるといった変化があるとさらに良かったかと。ボス戦が異様に力を入れて作られているのが伝わるだけに、雑魚敵のマンネリ感が余計に浮いて見えた気がします。

プレイする前は「アクションが面白ければそれでいい」くらいのスタンスでいたのに、キャラクター描写の上手さとストーリー展開の面白さでグイグイと世界観へ引き込まれていった作品でした。本作の主人公である宮本武蔵は、ゲームキャラでもトップクラスに魅力的な男だったと感じています。

最後に気になる点は挙げたもの、やはり剣戟の気持ちよさや楽しさのレベルは相当高く、クリア後の現在も本作を遊び続けています。

受け流しの手触りや一閃の爽快感は、同ジャンルの追随を許さないクオリティにまで高められています。本作を起動していない時間にも、ボス戦の攻略法や「どうすれば武蔵らしく戦えるか」を無意識に考えている時間もあったほどのめり込みました。

まだまだ飽きる気配がないので、幻魔たちにはもう少し犠牲になってもらおうと思います。

  • 魅力的なキャラクターとストーリー
  • シリーズ史上最高の「一閃」
  • 爽快かつ深みのあるアクションシステム
  • やや物足りない斬撃フィードバック
  • 登場しすぎる中ボス
【PS5】鬼武者 Way of the Sword¥7,355(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

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