NY市場サマリー(31日)米国株続落、ドル/円下落、2年債利回り3カ月ぶり高水準
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で下落した。日銀の植田和男総裁が比較的タカ派的な発言をしたことや、この日発表された米経済指標の内容を受けて連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する見通しとなったことが背景。
ドル/円は0.8%安の152.18円。
日銀は30―31日に開いた決定会合で政策金利の現状維持を決めた。植田総裁は会合後の記者会見で、今後、経済・物価情勢の見極めなどについて「時間的な余裕はある」という表現は使わないと説明。市場では「タカ派的」な内容だと受け止められた。
この日、米商務省が発表した9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.1%上昇した。前月の2.3%から鈍化し、2021年2月以来の小幅な伸びとなった。
マッコーリー銀行でグローバル金利・為替ストラテジストを務めるティエリー・アルバート・ウィズマン氏は「来週の連邦公開市場委員会(FOMC)では、なお25bpの利下げ幅が基本シナリオだ」と指摘。ただ、米国のインフレ期待の高まりから、FRBが利下げの見送りを検討する可能性もあるとの見方を示した。
NY外為市場:
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが上昇した。注目される10月の米雇用統計の発表を11月1日に控え、金利見通しに敏感な2年債利回りは一時3カ月ぶりの高水準に達した。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は、雇用統計が「予想外に上振れすれば、米連邦準備理事会(FRB)が今後の会合で利下げする必要があるか疑念が広がり、12月の利下げにも疑問符が付く可能性がある」と述べた。
CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む11月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利下げの確率は93%。一方、11・12月両会合で0.25%ポイント利下げが実施される確率は74%にとどまっている。
31日発表された米指標では、第3・四半期の雇用コスト指数(ECI)が前期比0.8%上昇し、2021年第2・四半期以来、約3年ぶりの小ささとなった。
9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.1%上昇と、伸びは前月から鈍化し、21年2月以来の小幅な伸びとなった。
米金融・債券市場:
両社とも前日の引け後に発表した決算は市場予想を上回っていたが、この日の株価は下落した。メタは4.1%安、マイクロソフトは6%安。
BMOファミリーオフィスのキャロル・シュライフ最高投資責任者(CIO)は「マグニフィセント・セブン(超大型ハイテク7銘柄)のうち3社が基本的にAI投資の予算はオープンエンドだと言っており、投資家はそれを嫌気している」と指摘した。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、月末を迎えて利益確定の売りなどが台頭し、6営業日ぶりに反落した。
投開票が11月5日に迫った米大統領選の行方への不透明感や中東情勢を巡る警戒感を背景に、金塊相場は前日に2800ドルを突破。この日は月末要因から持ち高調整の売りが出たほか、前日まで連日で最高値を更新した反動から利益確定の売りもでやすかった。
米商務省が31日朝方発表した9月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.1%上昇と、伸びは3年7カ月ぶりの低水準となり、インフレ圧力の鈍化傾向が改めて示された。米連邦準備理事会(FRB)が11月初旬の金融政策会合で少なくとも0.25%の利下げに動くとの観測が広がる中、市場では11月1日に発表される米雇用統計の内容が注目されている。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、イランが数日中にイスラエルを攻撃するための準備をしているとの報をきっかけに買いが集まり、続伸した。
米ネットメディア「アクシオス」は31日、イスラエルの情報当局が、イランはおそらく米大統領選前となる今後数日以内にも、イラク領からイスラエルを攻撃する準備を進めていると示唆したと報道。中東の地政学的緊張が高まり、買いが優勢となった。
米エネルギー情報局(EIA)が前日公表した週報によると、25日までの週の米原油在庫は市場予想に反する取り崩しとなった。また、米メディアは、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が12月に実施予定だった自主減産の縮小を延期する可能性があると報道。需給引き締まり観測が台頭したことも、相場を支援した。
NYMEXエネルギー:
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