7万円間近、回復基調の日経平均株価だが…投資のプロが警戒する「売りサイン」とは?
先週末14日(金)の日経平均株価は6万8,713円で取引を終え、前週末の終値(6万5,606円)からは3,107円の上昇となりました。
<図1>日経平均の5分足チャート(2026年8月7日~8月14日)
出所:MARKETSPEEDII
あらためて、先週の日経平均の値動きを図1の5分足チャートで振り返ると、週を通じて下値を切り上げる展開が続きました。
14日(金)の取引時間中には6万9,608円まで上昇する場面もあり、7万円台を射程圏内に捉えるところまで株価水準を戻してきました。目先の焦点は、「このまま7万円台を回復できるのか?」と、「7万円台を超えてから上昇基調を続けることができそうか?」の2点になります。
<図2>日経平均(日足)とMACDの動き(2026年8月14日時点)
出所:MARKETSPEEDII
図2は、日足の日経平均とMACDの推移を示したものです。先週の取引で5日移動平均線が25日と75日移動平均線を上抜ける「ゴールデン・クロス」が出現したことや、下段のMACDも「0円」ラインを上抜けるなど、日足チャートからは上方向への意識を強めつつあることが読み取れます。
もっとも、前回のレポートでも指摘していたように、ここまでの株価反発は想定の範囲内です。
次の目標は、株価が6月22日の高値をつける過程の安値どうしを結んだ「下値ライン」の上抜けになりますが、ちょうど7万円の株価水準あたりでもあるため、日経平均の7万円台回復は市場心理的に大きな意味を持ちそうです。
日本株の物色動向は悪くない?
続いて、先週の日経平均の上昇を物色動向からも探っていきます。
<図3>日経平均寄与度ランキングの状況【週間】
■日経平均の週間上昇幅:3,107円(8月7日と8月14日の終値比較)
出所:MARKETSPEEDIIデータおよび日経平均プロフィル公表の係数・除数を基に作成
図3は先週の日経平均の寄与度ランキングの状況です。
先週の日経平均における寄与度の内訳を見ると、アドバンテストの寄与度の大きさが目立っていますが、上昇した銘柄数(153銘柄)は前週(138銘柄)よりも多く、幅広い銘柄が買われているほか、上昇寄与度の合計も大きくなっています。
<図4>国内主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年8月14日時点)
出所:MARKETSPEEDIIデータを基に作成
また、図4を見ても分かるように、日経平均だけでなく、他の国内株価指数も上昇しており、とりわけ東証株価指数(TOPIX)については最高値を更新しています。こうした物色動向からは日本株が全体的に買われている様子がうかがえます。
今週のイベントと注目材料
そんな中で迎える今週の株式市場のイベントを整理します。国内では17日(月)に4-6月期国内総生産(GDP)速報値、週末の21日(金)に7月消費者物価指数(CPI)が予定されています。
米国では7月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が19日(水)に公表されます。また、中国でも7月分の経済指標(小売売上高や工業生産、固定資産投資など)がまとめて17日(月)に公表される予定です。
引き続き、日米の金融政策への思惑が相場のムードを左右しそうですが、先週公表された米国の物価関連指標(7月分のCPIとPPI)がインフレ懸念を和らげる結果となり、米国の早期利上げ観測が後退したこと、そして、AI・半導体関連株に対する見直し機運が高まったことが、先週の株式市場の上昇につながりました。
米国株市場でもS&P500種指数やラッセル2000などの株価指数が最高値を更新しています。
もっとも、金利(日米の10年債利回りなど)自体はあまり低下していません。
<図5>日米10年債利回り(日足)の推移(2026年8月14日時点)
出所:Bloombergデータを基に作成
先ほども見てきたように、ここ最近の米経済指標からはインフレ懸念の緩和を示すものが多くなっていますが、その一方で、10年債をはじめとする長期金利に上昇圧力がかかっています。
その背景には、米財政赤字の拡大懸念(トランプ関税の還付や中間選挙に向けたバラマキ政策への警戒など)をはじめ、AI投資の資金を調達する企業の社債発行が増えていることの影響、中東情勢の緊張が長期化することによる資源・供給網コスト上昇によるインフレ圧力警戒などが挙げられます。
一般的に、金利の上昇は実体経済への影響や、理論株価を計算する際の割引率の高止まりなど、株式市場にとってネガティブに働きます。これまで見てきたように、市場のムードや日足チャートなどからは上方向への目線を強めていますが、株価が上昇していくにつれて割高感も意識されやすく、次第に上値が重たくなる展開にも注意しておく必要がありそうです。
となると、最高値を更新しているTOPIXの動きについても、上値が重たくなるのかが気になるところです。
<図6>TOPIX(日足)とMACDの動き(2026年8月14日時点)
出所:MARKETSPEEDII
TOPIXについては、図6からも読み取れるように最高値を更新しているほか、14日(金)の取引時間中には初の4,200p台に乗せる場面を見せています。さらに、ローソク足の形状に注目しても、陽線が7日続けて出現するなど、強い動きとなっていて、日経平均以上に上方向への意識が強いと言えそうです。
そのため、目先は4,200p台超えと定着が注目されることになりますが、その一方で、そろそろ相場の過熱感を指摘する見方も増えてきそうです。
そこで、移動平均線乖離率について注目すると、先週末14日(金)時点の乖離率は、25日移動平均線でプラス3.97%、75日移動平均線でプラス6%となっています。
多くの場合、この移動平均線乖離率が5%を超えてくると過熱感が出始めるとされていますが、特に、今年に入ってからは、25日移動平均線との乖離率が5%を超えたあたりから上値が重たくなる傾向があります。14日(金)時点の25日移動平均線の値(4,036p)で計算すると、プラス5%乖離は4,237pとなります。
もちろん、移動平均線の値は日々変化していくため、プラス5%の乖離の値も変化していきますが、4,200p台に乗せてからの相場の強さが試されることになりそうです。
なお、来週(8月24日週)には、米ジャクソンホールで経済シンポジウムが開催され、そこで行われるウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が「今後の米金融政策の行方を探るヒントになるのでは?」と注目されていますが、イベントを前に慎重になることも考えられます。
そのため、「今週の前半にどこまで株価が上昇できるか?」という値動きになり、週末にかけて失速する展開があるかもしれません。
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