強盗犯が落としたウジェニー皇后の冠、ルーブルが無惨な現状を公開 「完全修復」へ

(CNN) フランスのルーブル美術館で昨年発生した強盗事件。アポロン・ギャラリーに押し入った犯行グループは、電動工具で展示ケースを切断して、ナポレオン帝政時代の宝飾品を強奪した。

しかし大胆にも窓から逃走を図った際、ウジェニー皇后の冠がすべり落ち、下の舗装道路にたたきつけられて破損してしまった。

劇的な落下から100日あまりが経過した今週、ルーブル美術館は往時の輝きを取り戻すことを目指す修復作業を前に、冠の現状を示す写真を公開した。

この冠はナポレオン3世の依頼でウジェニー皇后のために制作されたもので、1855年のパリ万国博覧会で披露された。

フランスの王室の宝飾品で今も国家が保有しているものは貴重だ。フランスでは1789年に始まった革命中、王室の宝飾品の大半が略奪された。残った宝飾品の多くはそれから100年近くが経過した後、共和主義的な気運が高まる中で、国によって競売にかけられた。

この冠は戴冠(たいかん)式で使用されることはなかったものの、帝政のシンボルとなり、1988年にルーブル美術館のコレクション入りした。

基部の2点と頂部の1点で冠に固定されていた四つのパルメットが外れてしまっている/Thomas Clot/Musée du Louvre
修理に出される前に撮影された冠の写真/Thomas Clot/Musée du Louvre

1354個のダイヤモンドと56個のエメラルドをあしらい、八つのパルメットと威厳あふれる黄金のワシを交互に配しており、数十年にわたって来館者を魅了してきた。

現在はワシのうち一つが欠け、パルメットの半数が外れた状態。一部には変形も見られる。

ダイヤとエメラルドをあしらい、かつて気高さをまとっていた帝政の象徴の宝珠は無傷ではあるものの、今やゆがんだフレームの中に沈み込んだ状態だ。

ルーブルの報告書によると、専門家の見方では、犯行グループが電動工具で開けた展示ケースの狭い隙間から冠を引っ張り出した際、柔らかい台座の部分に負荷がかかったとみられる。

さらに地面に落下した衝撃で、繊細な古い冠が押しつぶされた可能性が高いとも指摘した。

冠にあしらわれていた1354個のダイヤモンドのうち、10個が紛失している/Thomas Clot/Musée du Louvre
強奪される前の元の状態/Thomas Clot/Musée du Louvre

形こそ変わったものの、冠を構成する要素はほぼそのまま残っていることから、再制作や一から作り直しを行わずとも「完全修復」が可能だという。「枠組みを作り直すだけで済む」としている。

56個のエメラルドはすべて残っており、1354個のダイヤのうち、紛失したのは縁の部分の小さな約10個だけだ。ほかの9個は冠からは外れたものの、保存されている。

ルーブル美術館はこのほど、新たに結成された専門家委員会の監督の下、冠の修復案を募る競争入札を近く実施すると発表した。

ルーブルによると、昨年10月の事件後、カルティエやヴァン クリーフ&アーペル、メレリオ、ショーメ、ブシュロンといった名門ジュエリーブランドから修復への協力の申し出を受けたという。

10月に起きた7分間の犯行では、この冠を除く計8点の宝飾品がルーブルから強奪された。

その中にはマリー・アメリー王妃とオルタンス王妃が着用していたティアラやネックレス、サファイアのイヤリングに加え、マリー・ルイーズ皇后のエメラルドのネックレスとイヤリング、さらには「ウジェニー皇后の聖遺物ブローチ」も含まれていた。

原文タイトル:Mangled and bent, the Louvre heist’s surviving treasure is undergoing ‘complete restoration’(抄訳)

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