「沖縄は日本ではない」とは言ってなかった。中国メディアのインタビューを韓国紙が誇張して報道か(BuzzFeed Japan)

話題となっているのは、韓国の大手日刊紙「中央日報」の日本語のオンライン版です。11月18日に「中国国営メディア『沖縄は日本ではない』」という見出しの記事を掲載。Yahoo!ニュースにも配信されました。 中央日報の記事によると、日本の高市首相が「台湾有事の際に日本が集団的自衛権を行使する可能性がある」と発言したことをめぐり、中国が攻勢を一段と強めているとした上で、「中国の国営メディア」が「日本への圧力の度合いを一段と高めた」として、以下のように紹介しました。 <チャイナ・デイリーは15日、「琉球(沖縄の旧称)は日本ではない」とする沖縄の学者のインタビューを報じた。同紙は「第2次世界大戦中、日本を守るために沖縄を犠牲にしようとし、その結果、多くの人々が命を落とした」とし、「今日の高市氏の過激な立場に対し、沖縄住民の大半が懸念している」と主張した。> この報道をめぐって「中国の本音だろう」「ほら侵略が始まった」などと中国政府への反発の声が、日本語圏のSNSで相次いでいます。

沖縄の学者が本当に「沖縄は日本ではない」と言って、それを中国の国営メディアが報じたとしたら大きな問題です。 BuzzFeed Japanでは、実際のチャイナ・デイリーの記事を確認したところ意外な事実が分かりました。 チャイナ・デイリーは、公式サイトによると1981年に創刊した中国有数の英字新聞。BBCでは過去に「中国共産党傘下の英字紙」と報じています。 該当するとみられるインタビューは「Interview with a Ryukyuan: Ryukyu is not Japan(琉球人にインタビュー:琉球は日本ではない)」として11月15日にオンライン版に掲載されています。 該当記事のURL:https://www.chinadaily.com.cn/a/202511/15/WS6918121ea310d6866eb29b0d.html 記事中では「琉球(沖縄)出身のミュージシャン、映画製作者、平和活動家」の肩書きで、ロバート・カジワラさんへの英語でのインタビューを動画と記事で紹介しました。 動画冒頭ではレポーターが「なぜ多くの琉球人が、自分たちは決して日本の一部ではなかったと信じているのですか?」とカジワラさんに質問。 これに対して、カジワラさんは「良い質問ですね」と返した上で「遠い昔から沖縄は、琉球という名前の独立国家でした。琉球は中国、韓国、東南アジア、米国、フランス、オランダ、さらには日本からも独立国として認められていました」と続けました。 そして「琉球人の意志に反して、1879年に日本は琉球を侵略して併合。沖縄県と改名しました。それは日本の琉球の植民地化の始まりでした」として、沖縄が独自の文化を持っていることや、第二次大戦中にかぶった多大な犠牲について述べたほか、高市首相の台湾をめぐる発言で沖縄の人々が心配しているとしていました。


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まず、中央日報の報道とは違って、カジワラさんは学者ではありません。本人の公式サイトでは「沖縄市を拠点とするウチナーンチュ(沖縄にルーツを持つ人)のミュージシャン、アーティスト、平和活動家」と自己紹介しています。 沖縄タイムスではカジワラさんの制作したドキュメンタリー映画について、2024年に報道。「沖縄県名護市辺野古の新基地建設の中止を求める活動家」「米ハワイ在住の県系4世のロバート梶原さん」と紹介していました。 さらに今回のカジワラさんのインタビューでの発言を見ても、「琉球(王国)は日本を含む世界各国から独立国として認められていた」という歴史的経緯を説明しているのみで、「沖縄は日本ではない」とまでは言っていません。 チャイナ・デイリーの見出しも「琉球は日本ではない」でしたが、中央日報の見出しは、「沖縄は日本ではない」に変わっていました。伝言ゲームの中で、現代の沖縄が「日本ではない」とインタビューで語ったように見える物になっていました。

BuzzFeed Japan

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