英首相、トランプ氏からの圧力に「屈しない」と強調 イランでの戦争めぐり
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イギリスのキア・スターマー首相は15日の議会で、イランでの紛争に参加するよう求めるドナルド・トランプ米大統領からの圧力に「屈するつもりはない」と述べた。
トランプ氏はこの少し前に、英スカイニュースに対し、アメリカがイギリスに支援を求めた際に「彼らはいなかった」と語った。さらにイギリスとの関税合意について「いつでも変更できる」と示唆した。
スターマー氏は下院でこの発言に触れ、「私は考えを変えるつもりはない。屈するつもりもない。この戦争に参加することはわが国の国益ではなく、我々は参加しない」と述べた。
両国首脳の関係は、ここ数週間、中東情勢をめぐって緊張していることがうかがえる。トランプ氏は、2月下旬に始まった米・イスラエルとイランとの戦争について、スターマー氏が直接的な軍事関与を繰り返し拒んだことを理由に、同氏を「ウィンストン・チャーチルではない」と評するなど、たびたび批判している。
トランプ氏の最新の発言について、野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首から質問を受けたスターマー氏は、「イランに関する私の立場は当初から明確だ。我々はこの戦争に引きずり込まれるつもりはない」と述べた。
また、「これは我々の戦争ではない。別の進路を取るよう多くの圧力が私に加えられてきた。その圧力には、昨夜の出来事も含まれている」と語った。
「私は考えを変えるつもりはない。屈するつもりもない。この戦争に参加することはわが国の国益ではなく、我々は参加しない。自分の立場は分かっている」
スカイニュースのインタビューでトランプ氏は、英米の特別な関係をどのように表現するかと問われ、「我々が支援を求めたとき、彼らはいなかった。我々が必要としたとき、彼らはいなかった」と述べた。
さらに、「我々が必要としていなかったときも、彼らはいなかった。そして今もいない」と述べた。特別な関係をどう表現するかと重ねて問われると、「誰との関係だ」と答えた。
両国の関係について重ねて質問されると、トランプ氏は、「以前はもっと良かったが、悲しいことだ」と語った。
そして、「我々は彼らに良い貿易協定を与えた。必要以上にだ。それはいつでも変更できる」と述べた。
イギリスは昨年5月、トランプ氏の政権復帰後、最初に関税合意に達した国となり、自動車、アルミニウム、鉄鋼に課される一部の輸入税を引き下げた。
トランプ氏は、インタビューの前半では「スターマーが好きだ」と述べたものの、イギリス政府の移民政策とエネルギー政策は「常軌を逸している」と批判した。
ただし、両国の関係が、4月末に予定されている英国王チャールズ3世とカミラ王妃の国賓訪問に「影を落とすことは全くない」と述べた。
「私は国王のことを長い間知っているが、国王はそのプロセスには関与していない」と、トランプ氏は語った。
公式訪問を前に、何を最も楽しみにしているかと問われると、「ただ彼と一緒にいることだ。彼のことは長い間知っている。素晴らしい人物だ」と答えた。
英首相官邸の報道官は、イギリスは引き続きアメリカと「緊密な関係」を維持していると述べた。
そのうえで、「アメリカとの特別な関係は複数のレベルで存在している。我々は貿易、外交、国家安全保障、文化などにわたる緊密な関係をアメリカと築いている。それは、いかなる個別の問題よりもはるかに大きなものだ」と、報道官は付け加えた。
こうしたなか、イギリスのレイチェル・リーヴス財務相は15 日、イランとの戦争は「誤り」だと述べ、不満を表明した。
米首都ワシントンでのイベントで演説したリーヴス氏は、「この紛争が世界をより安全な場所にしたとは思えない」と語った。
また、14日付の英大衆紙ミラーでは、「これは我々が始めた戦争ではない。我々が望んだ戦争でもない。アメリカが、明確な出口戦略もなく、何を達成しようとしているのかの明確な考えもないまま、この戦争に踏み切ったことに、私は非常に強い不満と怒りを感じている」と述べた。
国際通貨基金(IMF)は、最新の世界経済見通しで、今年のイギリスの経済成長率予測を、イランでの戦争が始まる前の1月に示した1.3%から0.8%に引き下げた。
IMFは、エネルギーの純輸入国であるイギリスは、引き続きエネルギー価格の急激な上昇の影響を受けやすい状況にあると指摘した。