兵庫県知事選の「人流データ」を分析<1>序盤の斎藤氏、聴衆は素通り

 交流サイト(SNS)などでの支持の広がりで斎藤元彦氏が再選を決めた兵庫県知事選(11月17日投開票)。選挙戦の序盤から終盤にかけて、情勢は大きく変化したとされ、街頭での盛り上がりにも顕著に表れた。演説などが行われた場所の「人流データ」を検証すると、斎藤氏の街頭演説の盛り上がりを押し上げたのは「大阪や京都からの40代の男性」だった。立花孝志氏の「コバンザメ」効果はあったのか。

 今回、「人流データ」の分析に長けたソフトバンクグループの「Agoop」がスマートフォンの位置データから、実際にどんな人がどの候補の街頭演説を聞いていたのかを分析。調査を依頼したスローニュースとともに、データを検証した。

大勢の支持者に囲まれる斎藤元彦氏=神戸市長田区

 ■分析対象は街頭演説付近に滞在した人の流れ

 今回、分析の対象としたのは、斎藤氏と、稲村和美氏の街頭演説。スマートフォンの位置情報データから、街頭演説付近に15分以上滞在した人を割り出して分析することで、普段の人の流れと街頭演説が行われた日との人の流れの違いを分析した。位置情報データは、スマホのアプリで承諾を得たユーザーからのみ取得し、同意を得ていないユーザーからは一切収集していないという。

 ■斎藤氏、初日は大きな盛り上がりなし

 斎藤氏は告示日の10月31日午後6時ごろ、三宮センター街東口で演説した。人流データでは、普段と比べても増えてはいるものの、大きな変化は見られなかった。

斎藤元彦氏の演説が行われた三宮センター街東口の10月31日の人流データ(兵庫県在住者)

【データの見方】左の折れ線グラフは、灰色が平常の同曜日の平均、青色が当日の滞在人数(会場周辺に15分以上滞在)で、時間帯ごとの数を示す。右の棒グラフ(上が男女比、下が年代別比)は、それぞれ上が平常日、下が当日を示し、その違いで当日の滞在人数の傾向が分かる。男女比は青が男性、赤が女性、年代別比は左から20代、30代、40代、50代、60代。

 ただ、兵庫県外から訪れた人をみると、演説が始まる前から普段より伸び始め、待ち受けていた人がいることをうかがわせたものの、大きな盛り上がりではない。

斎藤元彦氏の演説が行われた三宮センター街東口の10月31日の人流データ(兵庫県外在住者)

 ■中盤、増加はしていたものの…

 その8日後、11月10日は選挙運動期間で最後の日曜日だった。普段の人流は6千人程度だが、3割多い約8千人が訪れていた。

斎藤元彦氏の演説が行われた三宮センター街東口の11月10日の人流データ(兵庫県在住者)

 県外から訪れた人も同様に、普段は1400人程度だが、4割以上多い約2千人が訪れていた。普段より男性が増え、40代が2倍近くに増えているのも特徴で、兵庫県民の人流とは違った傾向が見える。

斎藤元彦氏の演説が行われた三宮センター街東口の11月10日の人流データ(兵庫県外在住者)

 三宮センター街の東口は立ち止まって演説を聴く人たちでひしめき合い、センター街へ出入りする人たちが通れないほどの状況だった。当時、現場では聴衆がどこから集まったかは分からなかったが、データでは県外在住者が押し寄せていたことが表れていた。

 とはいえ、爆発的な伸びとは言えない。しかし、同じ11月10日でも、ある要因を加えた場所では劇的な伸びを示していた。

兵庫県知事選の「人流データ」を分析<2>斎藤フィーバーを下支えした「コバンザメ」

兵庫県知事選の「人流データ」を分析<3>斎藤氏最後の演説 聴衆はどこから?

兵庫県知事選の「人流データ」を分析<4>当初優勢の稲村氏「爆発」に至らず

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