「Windows 10」から「Linux」への移行を支援する「End of 10」とは
「Windows 10」との別れが近づいている。サポートが間もなく終了するためだ。残念ながら、Windows 10が稼働していたPCの多くは、「Windows 11」を快適に動かすには性能が十分ではない。しかし、ユーザーには幾つかの選択肢が存在する。 まず、Windows 11を動かすのに十分な能力を備えた新しいコンピューターを購入するという選択肢がある。もっとも、不安定な経済状況下では、これは高価な選択肢と言える。 次に、サポート対象外のOSを使い続けるというリスクを冒すことも可能だ。だが、日々危険性が増している世界において、これは賢明な選択とは言えないだろう。 そして3つ目の選択肢として、現在使っているコンピューターでも快調に動作するOS、すなわち「Linux」をインストールすることが挙げられる。 「End of 10」と呼ばれるキャンペーンが推奨しているのは、この最後の選択肢、Linuxの導入だ。これこそが、多くのWindows 10ユーザーの関心を引くはずである。なぜなら、それが最も理にかなった選択だからだ。 End of 10は、単なる意見表明のためのウェブサイトではない。これは、デジタルな目的を持ったムーブメントであり、(1)Windows 10端末をどうすべきか分からない、(2)Linuxが一体何なのかよく分かっていない――という人々を支援する狙いがある。 End of 10キャンペーンは、冒頭で「Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了する」という事実と、「Microsoftは新しいコンピューターの購入を求めている」という事実をはっきりと述べている。しかし、もし現在使っているコンピューターを、再び高速かつ安全にできるとしたらどうだろうか。 上記の主張は、誇張でもなければ、人々を脅してオープンソースOSへの切り替えを促すためのものでもない。これは真実について述べており、それぞれの主張は紛れもない事実である。 このキャンペーンは、事実を提示するだけで終わることもできただろう。しかし、End of 10はさらに一歩進んで、具体的な支援を提供している。支援してくれる人を見つけるためのリンクが用意されており、そのリンク先には、支援を惜しまない世界中の複数のPCショップ(Serious Cyberneticsなど)やユーザーグループ(Bruxelles Linux User Group〈BxLUG〉など)がかなり広範にわたってリストアップされている。 さらに、ユーザー自身でLinuxをインストールする方法を解説したハウツーページへのリンクも存在する。加えて、使い古したコンピューターをLinuxにアップグレードすべき5つの理由がリストアップされている。それは、とにかく圧倒的に安価であること、広告がなく、スパイ行為もないこと、地球環境に優しいこと、コミュニティーによるサポートがあること、そしてユーザーによる制御が可能であること――。また、Linuxのサポートを見つけられるリペアカフェ、独立系ショップ、組織、およびグループをリストアップしたページも用意されている。 加えて、それだけでは不十分だと感じる人々のために、同サイトには今後のイベント一覧ページが設けられており、そこでもLinuxに関する支援を得られる。そこでは、ドイツ、ベネズエラ、オランダ、フランス、スウェーデン、イタリア、バレンシア、タイ、米国マサチューセッツ州など、世界各地で多くのイベントが開催されているのが確認できる。自身が主催するイベントの追加も可能だ。これは、かつて1990年代から2000年代初頭にかけてよく開催されていたLinux Install Festsをほうふつとさせる。Linux Install Festsは、常にLinuxの神髄と魂を体現してきたと言えるだろう。なぜなら、それは全て「Ubuntu」という概念に基づいているからだ。Ubuntuとは、相互接続性と共同体的な人間性を表すアフリカの言葉である。 ただ、End of 10は、単にLinuxへの熱狂的な応援を集めたような雑多なものではない。むしろ、ユーザーが自分のコンピューターを使い続けるための道筋を見つけられるよう支援する、よく練られたリソースであると言える。Microsoftに料金を支払う必要もなく、またOSがサポート切れとなり無防備な状態に置かれる心配もなく、コンピューターを使い続けられるように支援しているのである。 この活動は、次の人々によって実現した。 Tobias Bernard氏(GNOME Design Team) Joseph P. De Veaugh-Geiss氏(KDE Eco) Tobias Diekershoff氏(FSFE) Nico Düsing氏(Web Development) Bettina Louis氏(Outreach、Events、Lifelong learning) Bernard Sadaka氏(Outreach) Carolina Silva Rode氏(Outreach Latin America) Nicole Teale氏(KDE's Opt Green) Geoffrey Teale氏(Website) Gerardo Zamudio氏(Outreach) このグループは、Linuxに対して真剣であるとともに、Windows 10ユーザーが現在のジレンマに対する解決策を見つけるのを支援することにも真剣に取り組んでいる。 この活動に関わりたいと考える人々のために、End of 10キャンペーンは主に2つの公開チャンネル、すなわち「Matrix」とメーリングリスト(ML)を使用している。また、「Fediverse」上にも存在し、そこでフォローしたり、投稿を広める手助けをしたりも可能だ。使用できるチラシも提供されており、さらには、個々のフリー&オープンソースソフトウェア(FOSS)コミュニティーに対しても、この活動の周知に協力するよう呼びかけている。 End of 10は、単なるウェブサイトではなく、1つのムーブメントである。このムーブメントは、ユーザーが新しいコンピューターを購入するという余計な負担を避けるのを支援すること、コミュニティーの一体感を持って人々を結びつけること、そして、PC廃棄物が再び大量に積み上がる事態を防ぐことを目指している。 何十年もの間、まるで天に向かって叫ぶかのようにLinuxの利点を説き続けてきた者として、筆者はこのムーブメントを心から称賛する。そして、Windows 10ユーザーがこれに参加することを願っている。そうすることで、ユーザーに敵対するのではなく、共に働き、ユーザーのために機能するOSを享受できるようになるからだ。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。