EU首脳、ウクライナへの揺るぎない支持表明-ハンガリーの反対無視
欧州連合(EU)は6日の特別首脳会議で、ウクライナへの支援を表明する宣言を、ハンガリーの反対を無視する形で採択した。EUが新たなウクライナ支援に向け結集を図ろうとする中、先行きの難しさが浮き彫りとなった。
EUはウクライナへの揺るぎない支持を約束するとともに、和平実現に向けた交渉の原則をまとめたが、EUで最もロシア寄りの指導者であるハンガリーのオルバン首相が署名を拒否した。
EUのコスタ大統領(欧州理事会の常任議長)は「26カ国は、ウクライナの能力強化が平和への道だと考えている。ハンガリーは孤立している」と首脳会議終了後の記者会見で述べた。
27カ国で構成されるEUは、米国が欧州を守る役割を縮小する中、ロシアに対抗するため数千億ユーロの防衛費を確保し、新たな安全保障体制を構築しようとしている。ただオルバン首相は、EUが急速に推し進めようとする多くの野心的な改革や、ウクライナ支援・ロシア制裁に向けた取り組みに拒否権を行使できる立場にある。
デンマークのフレデリクセン首相は「この戦争でオルバン氏とハンガリーが異なる立場を取る多くの会議に出席してきた。それについては何も変わっていない」と語った。
リトアニアのナウセーダ大統領は、「EUの意思決定プロセス全体を一人が妨害するのを阻止する方法を学ぶ時がきた」と発言。またフィンランドのバルトネン外相は、内部の反対を回避する「有志連合」をつくる計画があると語った。
オルバン首相が署名を拒んだ後、EUは残り26カ国の支持により、ウクライナへの継続的な支援を約束し、和平交渉の一環として安全の保証の提供を支援するとの宣言を採択した。
「EUは、同じ考えを持つパートナーや同盟国と連携し、ウクライナとその国民に対する政治、財政、経済、人道、軍事、外交面での支援を強化し、ロシアへの圧力を高めることに引き続きコミットする」としている。
EUが今後、軍事および財政援助の大規模な新規拠出でハンガリーの拒否権行使を回避するには、臨時の取り決めを考案する必要が生じるかもしれない。ただ、EUは慎重に事を進める必要もある。EUの対ロ制裁更新には半年ごとの投票が必要で、オルバン首相の同意を得る必要があるためだ。
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原題:EU Parks Its Hungary Problem as It Pledges More Ukraine Aid (2)(抜粋)