米30年債入札に市場参加者が注目-超長期債需要の試金石

Michael Mackenzie

米国債への需要を巡る懸念の中、12日に実施される30年物米国債220億ドル(約3兆2000億円)の入札に市場の注目が集まる。膨らみ続ける財政赤字が、米国の超長期債から投資家を遠ざけているかどうかの試金石になる。

  入札はニューヨーク時間午後1時に予定されている。

  議会では現在、トランプ米大統領の減税法案が審議されており、同法案は数兆ドル規模の財政赤字を追加発生させる可能性がある。これにより、政府の借入額がさらに増加し、国債の発行拡大に拍車がかかるとの見方もある。

  さらに、トランプ氏による貿易戦争がインフレ再燃や米資産全般に対する世界的な需要の減退を招くとの懸念が広がる中、とりわけ30年債をはじめとする超長期債が大きな打撃を受けている。

  先月の20年物米国債入札では需要の弱さが鮮明となった。

  ウィズダムツリーの債券戦略責任者ケビン・フラナガン氏は「20年債の結果を踏まえると、特に30年債入札には一段と高い関心が集まるだろう」と話した。

  米インフレ率は依然、米連邦準備制度理事会(FRB)の目標の2%を上回っている。超長期債は、物価上昇圧力の再燃というリスクに対して特に脆弱(ぜいじゃく)だ。

  こうしたリスクを背景に、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やダブルライン・キャピタルなどの運用会社は、長期債の比率を抑え残存期間10年以下の中期債を選好している。

  投資家が、米政府に対して長期間資金を貸すことに慎重になりより高い利回りを求めるようになった結果、タームプレミアムが拡大している。

  キャピタル・グループの債券ポートフォリオマネジャー、デービッド・ホーグ氏は「投資家が撤退する兆候がないか、入札を注視している」と述べ、「海外投資家が市場から撤退する、あるいは買いの勢いを鈍らせることがタームプレミアム上昇の一因だ」と説明した。

原題:US Long-Dated Debt Faces Crucial Test in $22 Billion Auction(抜粋)

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