中国人観光客の減少に「ずっとこのままでいい」 京都では喜びの声が 一方、白川郷では「墓に登ったり、私有地で用を足したり…」 地元住民は嘆息
「ありがたいことに、自粛になってから、中国人の団体ツアーの姿はパタッと見かけなくなりました」 そう声を弾ませるのは、京都の花街、祇園町南側地区協議会の太田磯一幹事だ。 昨年11月に中国政府が自国民に要請した、日本への渡航自粛。インバウンドに頼り切った日本の経済政策ゆえ、大ダメージ必至かのように喧伝されたのはご記憶だろう。日本政府観光局の発表によれば、昨年12月の訪日中国人は、前年同月比で45%減となっている。団体旅行客がめっきり減ったのはたしかなようである。 太田氏が続ける。 「個人旅行の方は今も来てはると思いますが、彼らは悪さをしませんね。以前のような路上のタバコの吸い殻はなくなったし、白タクも減った。車道の真ん中で騒ぎながら写真を撮る人もいない。無許可で舞妓さんの写真を撮ろうと追いかける人もいなくなりました。中国からの団体客は、もともとお金は落とさんと、迷惑を残していくだけだったんですよ。地元の人はみんな“ずっとこのままでいい”と言うてはります」
東京はどうか。観光客でごった返す浅草のさるホテルの支配人が言う。 「これまで3割ほどが中国の方でしたが、現在は1割いくかいかないか。うちでは他国の方を増やすために、例えば1万円だった客室単価を8000円~9000円にしていますので、売り上げ自体は若干、下がりましたね。とはいえ、中国人が減って残念だなという気持ちは湧きません」 なぜかといえば、 「なにしろチェックアウト後の室内が汚い。カップ麺の汁が入ったままの容器が床に置きっぱなしになっていたり、買い物をした袋や箱が散乱したままだったり。備品もよく持っていかれます。シャンプーやメモ帳、靴ベラやコップぐらいならまだ安いものですが、ドライヤーがなくなることもしばしばでした。連絡がついたときにはすでに帰国していて、こちらは泣き寝入りでしたから」(同)
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一方、自粛前後で、特に変化がない観光地もある。金沢から車で1時間半ほどの距離にある景勝地、白川郷のさる民宿の女将(おかみ)は、 「うちでは1割が中国からのお客さんですが、白川郷全体としても、特に中国人が減ったという感じはしません。今もテイクアウトのお店にはすごい行列ができていますよ」 ここでも、嘆かわしい事態が起きている。 「常に道路にはゴミが落ちているし、毎年雪の中に空き缶や食べ物の包み紙が捨てられています。春になって雪が解けると、そうしたゴミが地面に散らばるんですよ。さらに、私有地の新雪にダイブして倒れ込むかと思えば、人のお墓に登ったりすることもあります。自粛の影響は感じませんが、自粛が解除されてさらに人が増えたらどうなるか、不安を覚えるほどです」(同) また北海道でも、幻想的な青い池に立ち枯れのカラマツで知られる美瑛は“通常運転”だとか。この地で農家を営む男性が明かす。 「人気のある『クリスマスツリーの木』は、最寄り駅から2~3キロのところにあります。タクシーなどないので、中国人はスーツケースをガラガラ引いてぞろぞろ歩いている。地面も凍結していて、歩くと結構時間がかかるので、どうやら途中で“催す”ようなのです」 駅からツリーの道中には、 「ぽつりぽつりと用を足した“残骸”が落ちています。ある農家の人は、自分の納屋に行くと、見知らぬ中国人が用を足しているのに出くわしたと言っていました」(同) ここまでの話を総合すると、自粛要請以降もたいして変わらない、あるいはやや売り上げでダメージがあっても現在は立て直しに成功した、というケースが多い。 「コロナ禍で中国の観光客が来られなくなり、打撃を受けた教訓があります。ほとんどの宿泊施設や観光業態では、一つの国や地域に偏らないよう、工夫しているのです」(札幌ホテル旅館協同組合の安藤雅信理事長) 1月29日発売の「週刊新潮」では、中国人観光客がこれまで観光地で起こしてきたトラブルや、渡航自粛の影響についてより詳しく報じる。
新潮社