AIで次に注目すべきはフィジカルAI!モノづくり大国・日本が再び主役になる日

 世界の主要リサーチ会社は、フィジカルAI関連市場が2032年までに約2.2兆円規模に急拡大すると予測、ヒューマノイドロボット市場だけでも2030年までに年率平均39%超で成長すると見込まれています。

 この大転換で最も恩恵を受けるとみているのが、産業用ロボットで世界シェア6割超、センサー技術でも世界トップクラスを誇る日本企業です。生成AI時代に米中に遅れをとった日本が、フィジカルAI時代には「作る側」かつ「使う側」として二重の優位性を持つことは、あまり語られていない重要な視点です。本記事では、その理由と具体的な投資機会を徹底解説します。

1. 2026年、AIの「主戦場」が変わる──フィジカルAIとは何か?

生成AIの次に来るもの

 2023〜2025年、ChatGPTで火がついた生成AIブームは、エヌビディア(NVDA)、TSMC(タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング:TSM)をはじめとする半導体株を歴史的な水準まで押し上げました。では次に何が来るのか──多くの投資家が注目し始めているのがフィジカルAIです。

 フィジカルAIとは、AIがデジタルの世界だけで完結するのではなく、ロボットなどの物理的な存在に宿り、現実世界を認識・判断・行動できるAIのことです。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは2025年のCES(世界最大級のテクノロジー見本市)で「フィジカルAIの時代が始まった」と宣言しました。

※上図はあくまでイメージです。すべてを網羅しているわけではありません。

2026年は「実証」から「量産」への歴史的な転換点

 テスラ(TSLA)は、ヒューマノイドロボットの量産を2026年に本格開始し、目標価格を2万ドル台(約320万円)以下にすると発表しています。ヒューマノイドロボットはもはや研究室の中だけの存在ではなく、現実世界で動き始めています。

 こうしたロボットには、関節などを動かすための精密な部品が数多く使われています。世界で量産が本格化すれば、こうした部品の需要は急速に高まります。その恩恵を最も直接的に受けるのが、高い技術力を持つ日本の精密部品メーカーなのです。

 長期・構造的テーマとして、フィジカルAIへの投資熱は今後ますます高まっていくでしょう。

※上図はあくまでイメージです。すべてを網羅しているわけではありません。

※上図はあくまでイメージです。すべてを網羅しているわけではありません。

2. 「作る側」かつ「使う側」──日本だけが持つ二重の優位性

 生成AIモデルの開発競争では、OpenAI、Google、DeepSeekなど米中のビッグテックが主役になっています。そのため日本企業の存在感は限定的ですが、フィジカルAIの文脈では、日本は全く異なる立ち位置に立ちます。

優位性(1)産業用ロボット「作る側」──世界シェア6割の底力

 日本は産業用ロボットの製造において、世界シェア6割以上を誇る「ロボット大国」です。ファナック(6954)、安川電機(6506)、川崎重工(7012)、ナブテスコ(6268)といった企業が世界の工場を支えています。さらに2026年以降、これらの企業はエヌビディアとの連携を次々と深めています。

 注目すべきは、2026年5月にファナックがエヌビディアとの協業深化を発表した事実です。両社は最先端のAI技術を取り入れ、ロボットの設計・制御の精度や演算性能を大きく高めることに成功しています。これは「昔からある日本のロボットメーカー」が、最先端のAIと融合した「フィジカルAIの総合プレーヤー」へと進化しつつあることを意味します。

(出所)経済産業省「AIロボティクス戦略検討会議」よりGlobal X Japan作成

(注)2024年以降は予想 (出所)Global X U.S.よりGlobal X Japan作成

優位性(2)精密部品「縁の下の力持ち」──ヒューマノイドを支える日本製部品

 フィジカルAIのハードウエアを分解すると、その中核部品の多くが日本製です。

  • 減速機(ギア):ナブテスコ(世界シェア約60%)、ハーモニック・ドライブ・システムズが世界のロボット関節を支配
  • センサー:キーエンス(6861)の画像センサ・レーザ変位計は工場自動化の事実上の標準
  • サーボモーター:安川電機が産業用ロボット向けモーターで世界トップクラス
  • 電子部品:村田製作所(6981)・TDK(6762)などがロボットの神経系を担う電子部品で圧倒的なシェア

 ヒューマノイドロボットには、関節などに使う精密な部品が数多く必要です。世界で年間100万台が量産される時代には、日本の部品メーカーへの発注が殺到する構図が生まれます。次世代ロボットのサプライチェーンは日本抜きに語れないという認識が世界の機関投資家の間で急速に広まっています。

優位性(3)「使う側」としての構造的必然──2030年に644万人の人手不足

 日本は世界で最も深刻な少子高齢化に直面しており、2030年には644万人の労働力不足が生じると試算されています。これは危機であると同時に、自動化・ロボット投資を促す強力な構造的追い風でもあります。

 日本の製造業・物流・介護などの現場は、フィジカルAIを最も必要とする産業が集積している場所です。そして日本企業はそのAIロボットを「作る技術」も持っています。世界のどの国も持ち得ない、この「作る側+使う側」という二重の優位性こそが、フィジカルAI時代に日本株が再評価される最大の理由です。

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