米海軍による同盟国設計のフリゲート艦取得、韓国、日本、トルコ設計を検討中
USNI Newsは1日「ホワイトハウスと米海軍は新しいフリゲート艦として韓国の忠南級フリゲート、日本の新型FFM(もがみ型改)、トルコのイスタンブール級フリゲートを検討している」「この評価は2026年11月12日に提出される予定だ」と報じた。
参考:Japanese, South Korean, Turkish Warships Under Consideration for New U.S. Frigate Competition
国防総省は2027会計年度(FY2027)予算案に18.5億ドルの資金を計上し、この資金の使用用途として「外国設計によるフリゲート艦と駆逐艦・巡洋艦の採用や同盟国の造船所における建造・部品製造を含む大規模研究」と説明し、USNI Newsは「国防総省が海軍に日本と韓国の造船所・設計の活用を検討するよう指示した」と言及したため、一部の人々の間で「米海軍が日韓に艦艇を発注するのではないか」と噂されたが、この話は「日本で米海軍の戦闘艦艇を建造してあげる」「日本国内の造船産業や雇用に恩恵がもたらされる」というものではない。
出典:Department of War Fiscal Year (FY) 2027 Budget Estimates Navy 出典:Department of War Fiscal Year (FY) 2027 Budget Estimates Navy
この動きを簡単に端的に説明すると「海軍艦艇の国外建造(上部構造の主要部品製造も含む)はバーンズ・トレフソン修正条項で禁止されている」「米行政管理予算局(OMB)は海軍艦艇を同盟国の造船所で建造したい」「議会と造船所業界団体は雇用を守るため海軍艦艇の国内建造を守りたい」「ホワイトハウスは同盟国設計の艦艇を取得して国内建造させることで雇用と投資を生み出したい」となり、議会は2027会計年度の国防権限法案(歳出法で支出が決まった国防予算をどう使うのかを決める権限)の中で海軍艦艇の国外建造を制限する内容を盛り込んでいる。
下院バージョンの国防権限法案には「海外の造船所で建造される艦艇調達契約を締結するのにFY2027の予算を一切使用してはならない」という修正案が、上院バージョンにも「バーンズ・トレフソン修正条項をバイパスする大統領権限の大幅制限」が盛り込まれており、分かりやすく言うと「下院は戦闘艦艇の海外建造にFY2027の資金を使用するのは禁止だが補助艦艇についてその限りではない」「上院は補助艦艇のバルク燃料輸送船と戦略輸送船を最大2隻ずつ建造することについては条件付きで認める」で、上院は受注した海外の造船所に米造船産業基盤への直接投資を義務付ける方針だ。
出典:The White House
トランプ大統領も8月13日に署名した国家安全保障大統領覚書(大統領令とほぼ同等の法的効力をもつ公式な行政文書)の中で「沿岸警備隊の中型砕氷船計画で初めて採用された成功事例=フィンランドモデルに基づき、米造船産業基盤への直接投資をさらに推進することを指示する」「海外の造船会社が米造船所に大規模かつ持続的な投資を行い、米国人労働者を雇用して育成するなら、一時的に最大2隻の海外建造を許可し、3隻目以降の船舶は活性化された米造船所で建造される」と明記。
カナダ企業のデイヴィーは米法人の子会社=デイヴィー・ディフェンスを通じて中型砕氷船5隻の建造を受注し、同社が所有するフィンランドのヘルシンキ造船所で最初の2隻を建造、その間に買収した米ガルフ・カッパー造船所で中型砕氷船を建造できるように準備を整え、残りの中型砕氷船を雇用した米国人労働者によって建造する予定で、これが大統領覚書の中で成功事例と言及したフィンランドモデルの正体だ。
出典:The White House
大統領覚書はフィンランドモデルを対潜・水上戦や護衛任務が行える水上戦闘艦、Ro-Ro型貨物船、洋上補給用の貨物・給油タンカーの調達にも拡大することを指示し、その条件として「最初の2隻以外は新規に建設した米国内の造船所、所有権もしくは過半数の株式を取得した既存の米造船所で建造すること」「最初の2隻以外を建造するため米国人を雇用して訓練すること」「最初の2隻を建造した親会社の造船技術やテクノロジーのライセンスを米造船所に与えること」「最初の2隻以外を米国で建造する場合は必要な全てを米国のサプライチェーンから調達すること」を挙げ、この条件を満たすならバーンズ・トレフソン修正条項が免除される。
これも議会が国防権限法案の中で国外建造を制限すれば実現困難になり、特に上院は大統領が行使できる「バーンズ・トレフソン修正条項の免除権限」も制限する方向なので、OMB、議会、ホワイトハウスの考え方はバラバラで収束する気配がないが、USNI Newsは1日「ホワイトハウスと海軍は韓国、日本、トルコのフリゲート艦設計案を検討している」「ハン・カオ海軍長官代理は海軍に水上戦闘艦、Ro-Ro型貨物船、洋上補給用の貨物・給油タンカーに関する調査を命じた」「この評価は2026年11月12日に提出される予定だ」と報じた。
出典:海上自衛隊
USNI Newsの取材に応じた関係者は検討している同盟国設計のフリゲート艦について「三菱重工業の新型FFM(もがみ型改)輸出バージョン、韓国の現代重工業、ハンファオーシャン、SKオーシャンプラントが建造している忠南級フリゲート、トルコのイスタンブール海軍造船所、アナドル造船所、セデフ造船所、 セフィーネ造船所が建造しているイスタンブール級フリゲートが検討候補に挙がってる」と証言しているが、フィンランドモデルを適用するには米国に造船所を新設するか、既存の造船所を買収しなければならない。
韓国のハンファはすでにハンファ・フィリー造船所を所有し、豪オースタルの米国事業(オースタルUSA)買収にも動いているため、フィンランドモデル適用という点でもっとも現実的な選択肢だ。逆に日本とトルコはフィンランドモデル適用条件を満たす投資から始めないといけないので実現性が非常に低く、韓国と同じようにフィンカンティエリ・マリネット・マリーンを所有するイタリアのフィンカンティエリ(ベルガミーニ級フリゲート)の方が可能性があるだろう。
出典:Adem/CC BY-SA 4.0
どちらにしてもフィンランドモデルを水上戦闘艦、Ro-Ro型貨物船、洋上補給用の貨物・給油タンカー調達に拡大させるには議会を説得する必要があり、本当に米海軍が同盟国設計のフリゲート艦を取得できるようになるのかは2027会計年度の国防権限法案が成立してみないと何ともいえない。
ちなみにUSNI Newsの取材に応じた関係者はイスタンブール級フリゲートが検討候補に入った理由について「7月にトランプ大統領とエルドアン大統領が会談したことを受けてのものだ」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:HD현대중공업