ノーベル賞経済学者が警鐘… トランプ次期大統領の政策はブルーカラーの支持者たちを「残酷に裏切るだろう」

アメリカのトランプ次期大統領と経済学者のポール・クルーグマン氏。

REUTERS/Jonathan Ernst, REUTERS/Franck Robichon

アメリカのトランプ次期大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、ブルーカラーの労働者のために戦うと約束して、大統領選に勝利した。しかし、トランプ次期大統領はこうした人々の生活をもっと厳しくするだけだとポール・クルーグマン氏は言う。

「一般的な共和党員以上に(トランプは)極めて逆進的な経済プログラムを考えているようで、これは事実上、労働者階級の有権者から上位へと所得を再配分するものだ」とクルーグマン氏は指摘した。

アメリカの家計はすでにインフレで圧迫されている。2022年の夏には消費者物価指数(CPI)が40年ぶりの高水準となる9%超まで急上昇し、連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%を上回った状態が続いている。

これはFRBがインフレ抑制のために、政策金利を17カ月足らずでゼロから5.25%以上まで引き上げ、今も4.5%の高水準を維持しているからだ。

マサチューセッツ工科大学やプリンストン大学の元教授で、ニューヨーク・タイムズのコラムニストでもあるクルーグマン氏は、食料品の価格に注目した。トランプ次期大統領は選挙期間中、食料品価格を下げると主張していたが、ここ数週間でこれを撤回した。

それでも、最近の調査によると、トランプ氏の支持者たちは今も次期大統領が食料品の価格を下げてくれると期待しているとクルーグマン氏は言う。さまざまなモノの価格は上昇し続け、デフレは経済にとって望ましくないと広く考えられているにもかかわらず、だ。

12月下旬にアメリカ人2244人を対象に実施されたCBS News/YouGovの調査では、回答者の40%がトランプ次期大統領は食料品の価格を下げてくれると期待していて、次期大統領が食料品価格を上げると見込んでいる回答者の割合(36%)を上回った。

「多くの人々が残酷に裏切られるだろう」とクルーグマン氏は語った。その上で、トランプ氏は自分が大統領になれば暮らしが良くなると言って人々を欺いているだけでなく、自らの公約をどうやって実現するつもりかも分かっていないようだと続けた。

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