プロ初安打の巨人・笹原操希が大切にする憧れ大先輩からの打撃用手袋「全部使って部屋に置いています」

◆JERA セ・リーグ 巨人1―9DeNA(17日・東京ドーム)

 巨人・笹原操希外野手(21)がプロ初安打をマークした。21年に育成ドラフト4位で入団し、14日に支配下登録されたばかりの若武者はDeNAの左腕エース・東から左前打を放ち、プロとしての第一歩を記した。先発の田中将大投手(36)は2回を投げて7安打6失点でKO。日米通算199勝目はお預けとなった。打線も東の前に8回無得点と沈黙。降板後の9回に1点を返すのがやっとで貯金は0に逆戻りした。18日からは敵地神宮でヤクルト3連戦に臨む。

 強気で振り抜いた打球が三遊間を抜けた。笹原は一塁に到達すると、思わず笑みをこぼした。「とりあえず1本出たので、ほっとしました」。360度の大歓声が21歳の初安打を祝った。ベンチを振り返ると先輩や首脳陣も喜んでいた。しっかり右手を上げ、応えた。

 0―9で迎えた8回無死一塁。意地を見せたい場面で、東の内角スライダーを引っ張った。前日から6打席目でのプロ初安打。キャンプから取り組んできたセンター中心に打つ意識を忘れなかった。「反応で引っ張れた。うれしかったです」と振り返った。

 1軍デビューとなった16日は3打数無安打。緊張と重圧を帰りの道中まで感じていたが、寮に着いたら切り替えられた。「お風呂に入ってダラダラして、ストレッチしながらYouTube見て寝ました」。前向きに切り替えたからこそ、記念すべき1本につながった。

 21年育成ドラフト4位で入団。「長野2世」とも称される走攻守3拍子そろった右の外野手として期待されたが、昨年まで支配下を勝ち取れず。勝負の4年目。何かを変えようと考えた。好きな色は青で、昨年まで試合用の防具や打撃用手袋には必ず青が入っていたが、心機一転の意味も込め、グレーや黒に変更。「落ち着きの4年目です」と説明したが、「野球では暴れますよ!」と心を燃やし、はい上がった。

 強力な味方もいる。小さい頃から憧れていた長野には、入団1年目から打撃用手袋を何度もプレゼントされた。「全部使って部屋に置いています。ちょーさんの手袋だけめちゃくちゃたまっています」。すでに合計10個以上。1軍合流後にも、打撃用手袋を3、4個受け取った。この日は以前もらった打撃用手袋を身につけ打席へ入った。お守りのように大事にするグッズが、いつも支えてくれていた。

 14日に支配下に昇格。15日は静岡で行われたくふうハヤテとのファーム交流戦に出場し、その夜帰京した。まだ1軍にも慣れない中、激動の4日間を過ごしたが「なんか忙しかったですね」。すっきりした表情に頼もしさも感じさせた。

 13日まで3桁の背番号をつけていたシンデレラボーイは「一日一日必死に、1軍に残れるようにやっていきます」とさらなる活躍を誓った。まずは全力で、1軍にしがみつく。(臼井 恭香)

◆高橋由伸のPoint 笹原は思い切りのいいバッターだね。初対戦の投手ばかりの中、ファーストストライクから鋭いスイングを見せ、長打力もありそうな強さも感じた。9回は相手の山崎に対し、チームとして「低めは振らない」という指示が出ていたのか、低めのツーシームを平然と見送っていた。好機で見逃し三振に倒れたが、浮いた球には迷わず強振する姿に好感を持てた。先発・東のチェンジアップに対しても打席ごとに対応していた。長野2世と呼ばれてる? まあ、その可能性は十分に秘めていると感じたね。

 ◆笹原操希アラカルト ▽生まれ 2004年2月9日、長野市。21歳 ▽サイズ 180センチ、86キロ ▽投打 右投右打 ▽球歴 小学3年から長野南リトルで野球を始める。上田西高では3年春に甲子園出場。高校通算33本塁打。21年育成ドラフト4位で巨人入団。 ▽趣味 ゴルフ ▽好きな色 青 ▽好きな言葉 「脱力」。「力が入っていると、いい結果が出ないので大事にしています」

 ▽あだ名 「ささ」

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