「認可外」が破った母との約束 うつぶせ寝で奪われた0歳児の命

認可外保育施設で亡くなった真渚己ちゃんの写真を手に取材に応じる母(左)と父=東京都内で2025年11月24日午前11時30分、安達恒太郎撮影

 共働きの父母は生後4カ月の男の子を東京都内の「保育園」に預けた。

 認可保育園の落選が続き、最後にすがった認可外の施設だった。

 安全面に不安はあった。だからこそ、これだけは守ってと依頼した。

 「うつぶせで寝かせないで」

 しかし、約束は破られた。保育施設で失われた命の重み、安全管理とは何かが法廷で問われている。

目を疑った光景

 男の子は2023年7月に生まれた。体重は2923グラム。大きな声で泣いた。

 30代の父母は家族の名前を組み合わせ「真渚己(まさき)」と名付けた。

 性格はおっとり。絵本の読み聞かせで、わくわくしたような表情を見せた。

 愛情を込めて「まっさん」と呼んだ。仕草や表情が増えていくのがうれしかった。

 一方で、悩ましい問題があった。

 父母はともに医師。育児休業を取っていた母も、なるべく早く職場復帰する必要があった。

 生後3カ月ごろから、自宅がある世田谷区内の保育園を探した。

 だが、待機児童が多く、申し込んだ認可保育園は8カ所全て落選した。

 認可外も軒並み満員だったが、インターネットで1枠だけ空きを見つけた。「託児ルームバンビーノ」という施設だった。

 母は雑居ビル2階に入る施設の見学に向かう。そして、30平方メートルに満たない雑然とした室内の光景に息をのんだ。

 0歳児くらいの子ども3人がうつぶせで寝かされていた。

 「え? これっていいの?」

 幼い子のうつぶせ寝は、口や鼻が塞がり窒息のリスクがある。子育ての世界では常識のはずだ。

 自宅で真渚己ちゃんをうつぶせで寝かせることは絶対にしてこなかった。布団が顔にかからないよう細心の注意を払っていた。

 一方で施設からは、せかされるような言葉を掛けられたという。「(入所に関する)問い合わせの電話が他にもある」

 この頃、家族は引っ越しを伴う転勤を数カ月後に控えていた。預けるとしても短期間になるはず。

 悩んだ末、父母は一生の後悔となる決断をしてしまう。

「絶対にしないで」が守られず

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