スカイスキャナー「旅先で読書をしましょう!」 私「いやぁ、無いでしょ」→ レジェンド級のスポットでわからされた
スカイスキャナーが、2026年に来るであろう旅行界のトレンド「トラベルトレンド」を予想したという情報が入ってきた。ほう、どんなトレンドを予想しているのです?
「読書リトリート」……? え、旅行先で読書? いやぁ、無いでしょ。旅行に行ったら全力で観光っしょ!!
初手から否定したら、スカイスキャナーを刺激してしまった。視野の狭い私に、旅行先で読書する楽しみをプレスツアーでわからせるという。行き先は大分県。湯布院だ。
・スカイスキャナー
スカイスキャナーの提供なので、まずは簡単に紹介を。リアルに1ユーザーの私としては、安い航空券を探すためのサイト/アプリみたいな利用をしてきた。
ちなみに私は、代理で販売する感じのサービスは利用しない。価格だけ調べて、常に航空会社の公式からチケットを購入するタイプ。
ゆえに各社公式からの情報を参照して安いものをまとめてくれるスカイスキャナーは有難い。細かいことを言うと、スカイスキャナーとGoogle Flightsの両方でチェックするのがガチに私のリアルなスタイルだ。
スカイスキャナーの機能としては、「プライスアラート」という狙ってるチケットの値下がりを知らせてくれるものと、アプリ限定の「DROPS」という直近の平均価格から20%以上値下がった時に通知するものが、とくに気に入っている。
・読書
スカイスキャナー的にも、それ等の機能は武器らしい。ツアー中のブリーフィングで彼らも推していた。そんなスカイスキャナーによると、「読書リトリート」とは、文学に着想を得た旅行だそう。
彼らが利用者1000人から集めたデータによると、文学的コンテンツが何らかの形で旅行の目的になるという人は42%にもなるらしい。これには作品の聖地巡礼や、旅先での読書その物が含まれる。
冒頭で述べた通り、聖地巡礼ならわかる。私だってパリには「移動祝祭日」を、オーストラリアには「恐るべき空白 : 死のオーストラリア縦断」を持ち込んで、現地で読むだろう。
しかし旅行先で読書をメインにするのは、よくわからない。移動中の暇つぶしとは違うらしい。
私は旅行に行ったら寝る間も惜しんで全力で観光したいタイプだ。旅行中の時間ほどスペシャルなものはないので、その土地に特化したものを楽しみたいのだ。
ゆえに私のプライベートの旅行では、観光していない時間など0に等しい。何なら睡眠をキャンセルする。
だが、スカイスキャナーの利用者の1000人中、3人に1人は旅行中に読書時間を確保することを重視するという。つまり、けっこうな数の人が、旅館とかで読書するための時間を設けるってことなのか……?
なんとまあ贅沢な時間の使い方だろう。1ヵ月くらい滞在するなら読書に割くのもわかるが、そうではあるまい。
ちなみに「トラベルトレンド」は「読書リトリート」だけでなく、全部で7つある。他は登山に関連付けた旅行をする「山間リトリート」や、現地の人の暮らしに似た体験を求める「ローカルツアー」など。
見た感じ、7つのうち6つは普通に納得できるものばかりだ。だがやはり、「読書リトリート」に含まれる、旅先で読書をメインにする派閥だけがよくわからない。それゆえの、「いやぁ、無いでしょ」だったわけだ。
・湯布院
しかしスカイスキャナーは、自信ありげに私を連れて大分県の湯布院へ。読書に没入できる旅行プランのモデルみたいなものを体験させてくれるという。
ほう。湯布院で文学といえば、私の読書傾向だと殺人事件が起きがちだ。 我が小さき灰色の脳細胞が働く機会か……と思っていたら、やってきたのは「文学の森」。
おや、「碧雲荘」だと? これは私の湯布院のイメージに無かった建物。初手から日本文学史的にレジェンド級なガチスポットの1つが登場した。太宰治の聖地じゃんね。
こちら、太宰治が住んでいたことがあり、彼の作品にも出てくる。元は荻窪駅の近くにあったが、10年前に保存を希望する有志の手で東京から大分に移築されていたそう。
私は普通に荻窪で前を通ったことがある。庭の植木で全体がそんなに見えなかった記憶。言われてみれば、保存に関してニュースになっていたような記憶もある。
その後の情報を追っていなかったので、現状を今ここで把握した。まさか、こんな遠方に移っていたとは。湯布院はけっこうな山の中。バラして持ってきて、また建てたとか、凄まじいな。
現在は「ゆふいん 文学の森」として、本の読める喫茶店のような施設になっている。
内部については、実際にご覧いただくのが良い。とてもセンスのいい、落ち着いた空間。
1階は喫茶室とされており、軽食や珈琲などを味わいつつ、持ち込んだ本を読むことができる。
なんとまあ文化的な空間だろう。2階は現在、見学のみの利用では解放しておらず、飲食利用客のみが入れるとのことだったが、1階同様にセンスがいい読書空間。
おやおや、これが太宰が立ちつくし、金網を撫でながらじめじめ泣いた、暗い便所ですか。便器周りは近代化されていた。暗くもない。
施設の方によると、本当にオープンからやってきて、営業終了までゆっくりと読書に興じる人もいらっしゃるそう。当然、太宰治のファンは多いもよう。
さて、この場所でこんなことを言うのは最悪だが、「碧雲荘」の現在を知らなかった時点で、太宰ファンにはバレているため正直に言おう。私は太宰治が好きでも嫌いでもない。若い頃に有名どころを読んだだけだ。
此度のツアーでは読書がテーマと聞いていた。そこで持ってきたのは2018年の新潮。ヘミングウェイの「中庭に面した部屋」だけが目当てで買ったものだ。
太宰要素は0に等しい。おっと、よく見たら芥川賞受賞作家が載っているじゃないか! 太宰の聖地でこれは、いよいよまずい気がする。しかしここでなら、誰の本であってもリッチな読書体験になるだろう。
この空間はガチで、純粋に読書できる良質な喫茶としてのクオリティが高すぎる……! アンチ旅先読書派だった私だが、なんとなくわかってきた気がする。
旅先に、真に高いクオリティで読書に適したスポットがあるなら、読書をメインにするのも悪くない。まあ、レジェンド級作家の聖地という特級の属性は、「ゆふいん 文学の森」に限った話かもしれない。
しかし読書に適した空間という面では、他の場所にも比肩しうる場所はあるのだろう。そこを目的地にして観光するということなら、なるほどなと。
さて、こうして始まった「読書リトリート」を体験するプレスツアー。しかし、記事がいささか長くなってきたので、まずはこの辺で。この後に向かった宿も凄かった!! 別の記事でお伝えするぞ。
参考リンク:ゆふいん 文学の森、グローバル旅行アプリ スカイスキャナー「トラベルトレンドレポート2026」 撮影・執筆:江川資具 Photo:RocketNews24.
▼「ゆふいん 文学の森」のピザが軽食ってレベルじゃないし、空間も良すぎる。これは「大分きのことチーズピザ」。
▼公式インスタがより詳しく、最新の情報も載っている。
▼この記事はスカイスキャナー側に共有される予定なので、その機を利用して1ユーザーとして、あると嬉しい機能を勝手にお願いしていくスタイル。私はよく日付を月すらも決めず、行き先だけ指定してチケットを探す。特定の時期に旅行しようというのではなく、安い時期に休暇を合わせるからだ。
検索のオプションには「Weekend trips」とか「3-4 days」とか、往路と復路の日数差をある程度指定できるものがあるのだが
ここに「往路から〇日」を自由に指定できる機能があると、私は嬉しい。