「果てしなく続く悠久のメコン川の流れのように」 ラオス晩餐会での愛子さまお言葉全文
ラオスを訪問中の天皇、皇后両陛下の長女、敬宮(としのみや)愛子さまは18日夜、首都ビエンチャンで、パーニー国家副主席主催の晩餐会に臨席し、「日本・ラオス両国において、お互いの国への理解や関心がより一層高まり、果てしなく続く悠久のメコン川の流れのように、どこまでも発展していくよう願っています」などとお言葉を述べられた。
愛子さまのお言葉全文は以下の通り。
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パーニー国家副主席閣下、御列席の皆様、サバイディー(こんばんは)。
この度は温かいおもてなしを頂き、その上、このように盛大な晩餐会を催していただいたことを心より御礼申し上げます。日本とラオスの外交関係樹立70周年を記念する年に、私にとって初めてとなる国際親善のための外国訪問として、ラオスを訪れることができましたことを大変うれしく思います。
昨日の到着以来、トンルン国家主席、パー二―国家副主席、ソーンサイ首相を始め、ラオスの皆様から心のこもった歓迎を頂き、有り難く思うとともに、長年にわたって培われてきた両国の心温まる友情の絆を実感することができました。また、先ほどはパーニー国家副主席に「パーシー・スークワン」の儀式を執り行っていただきました。今、私の手首に巻かれている白い糸には、変わらぬ友情や助け合いの心、旅の安全など様々な祈りがこめられていると伺います。人生の節目などにお互いの幸せを祈念するために行われ、大切に受け継がれてきているこのようなラオスの伝統的な儀式に触れる特別な機会を頂いたことにも深く感謝申し上げます。
パーニー国家副主席主催の晩さん会に臨まれた天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さま =18日午後、ラオス・ビエンチャン(代表撮影)ラオスには、豊かなメコン川の恵みと共に、国民の生活に根付いた古くからの伝統文化が残されていると伺っております。本日の午前中に訪れた凱旋門やタートルアン大塔では、市内を一望した際の雄大な眺めや、誇りある歴史と人々の祈りの場の荘厳な雰囲気に心を打たれました。私の父は 2012年にラオスを訪問していますが、父からは、ラオスの人々の温かさや、メコン川の恵みを受けた豊かな文化と美しい景色が特に印象深かったと聞いています。また、今回の滞在中、父も訪れたルアンパバーンを訪問できることも楽しみにしております。世界遺産にも指定された緑豊かな街並みを歩き、歴史的な地を巡り、地域の人々の暮らしにも理解を深めることができるできればと思います。他にも、無形文化遺産であるナーガ文様の伝統織物など様々なものに触れながら、美しい自然や伝統との調和の中に生きるラオスの人々の生活や文化を肌で感じることができればうれしく思います。
人と人との交流が両国をつなぐ絆を育んできました。
パーニー国家副主席主催の晩さん会で、お言葉を述べられる天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さま=18日午後、ラオス・ビエンチャン(代表撮影)ラオスは、ちょうど60年前の1965年にJICA海外協力隊が初めて派遣された国であり、これまでに1000名を超える隊員が貴国に受け入れられ、現地の皆様と活動を共にしてきています。また、これまでに日本に留学されたことのあるラオスの方々が、その後ラオスの社会で活躍されていることを伺い、心強く感じております。そして、ラオスの若い世代を中心に、日本の文化に親しみ、日本語や武道を学んでいる方が増えていることをも非常にうれしく思います。今回の訪問では、JICA海外協力隊員を始めとする日本の人々が活動する教育・文化・医療施設も訪れることを予定しており、日本文化を学ばれているラオスの方々や、日本の次の世代を担う皆さんと交流できることも楽しみの一つです。今日までのラオスにおける法制度や基礎インフラの整備、不発弾の処理といった日本による支援が、ラオスの国民の皆様のお役に立てているのであれば、大変うれしく思います。
同時に、日本の人々が2011年の東日本大震災などの大きな試練に直面した際、ラオス政府や国民の皆様から温かいお見舞いを頂き、惜しみない支援の手を差し伸べていただいたことも、心より有り難く、忘れることはできません。東日本大震災の当時、私はまだ小学生でしたが、ラオスの方々からの心温まる支援について後に知り、両国の人々の結び付きが一層深まった出来事として心を動かされるとともに、長く記憶にとどめていきたいと思っております。
このように、長年にわたり、日本とラオスの友好関係と協力の歴史が築かれてきたことを喜ばしく思います。そして、日本の文化などに関心を持ち、日本に留学されている学生の皆さんを始め、日本で暮らすラオスの方々の滞在が楽しく、安心できるものとなり、様々な交流を通じて両国の友情が更に紡がれていくことを願っております。
今日の日本とラオス両国の深い友好と幅広い協力関係は、長年にわたる両国の先人たちによる努力の積み重ねの上にあることを忘れてはなりません。両国関係の発展に情熱を注ぎ、様々な困難を乗り越え、力を尽くしてこられた方々に思いを馳せるとともに、今後、私たち若い世代が先人達の歩みを受け継ぎ、両国の架け橋となって、ラオスのチャンパーや日本の桜のように、美しい花を咲かせていくことができればと思います。
この機会に、日本・ラオス両国において、お互いの国への理解や関心がより一層高まり、果てしなく続く悠久のメコン川の流れのように、どこまでも発展していくよう願っています。
コー・コープ・チャイ・ラーイ、ニョック・チョーク(どうもありがとうございました。乾杯いたしましょう)。
パーニー国家副主席主催の晩さん会で乾杯される天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さま=18日午後、ラオス・ビエンチャン(代表撮影)