石川遼を500万円で落札したのは誰だ! 異例オークション形式のプロアマは成功か
◇国内男子◇前澤杯 MAEZAWA CUP 事前(23日)◇MZ GOLF CLUB(千葉)◇6652 yd(パー70)
一般的なゴルフの「プロアマ」と言えば、大会スポンサーや関係者を招いて開幕前にコースを回るもの。今週は1組100万円のプレー代を一般発売し、お目当てのプロがいればオークション形式で落札できる。最高額で落札されたのは23日(水)の石川遼ご指名チケットで、その額なんと500万円 (計600万円)!
日本国民の平均年収約460万円(国税庁より)を上回る大金に、石川本人も「いやあ、重いなあ…」と緊張感をもって臨んでいたが、果たして落札者はどんな人…?
「めちゃくちゃ楽しかったです。回ってみて、高くはなかったなと思いました」。悪天候に負けない笑顔で戻ってきたのは35歳の根岸功貴さん。後輩2人とともに600万円のラウンドを射止めたご本人だ。都内で不動産業などを営みながら、YouTuber「ねぎしこ」としても活動する。前澤友作氏との縁でオークションを知り、「いくらまで行っても落とそうと思っていました」と名乗りを上げた。即決価格500万円が決まったところで落札した。
根っからのゴルフファンというわけではなく、男子ゴルフの試合に来るのも初めて。「“こういう風に狙っていきます”と言った通りの弾道で打っていた。めちゃくちゃ優しいですし、来年もやるなら石川さんが良いです」と600万円の価値は十分にあった。
プロアマチケットの売上額3億3000万円は、2億円を賞金に還元、残りの1億3000万円を運営費に充てる。試合数減少が課題の男子ゴルフ界での斬新な取り組みに、「新しいスキームを作った」と日本ゴルフツアー機構(JGTO)の倉本昌弘副会長は話す。スポンサー企業からの出資に頼るだけでなく、一般のファンの力で成り立つ大会。「経済を回すという意味では、不特定多数のファンからお金を集めることが必要」と前澤氏と本大会の形式にたどり着いた。
金銭面だけでなく、ファンを増やす意味でもこのプロアマの価値は大きい。22日には、ソン・ヨンハン(韓国)の10年来のファンという夫婦がチケットを買ってプレーを楽しむ姿を見た。倉本自身も、一緒に回ったファンとメールのやり取りを続けていて、「レッスンしてもらうことが、ありえないとおっしゃっていた。もうこの段階で、成功だと思っています」と話した。
「ファンと選手が一緒にゴルフをできるというのは、我々としても盲点でした。応援に来てくださっている方々で、今回初めて名前が分かって、お互いに自己紹介できたりと出会いもあって楽しかった」と石川。プロアマチケットの売上高は、当初目標としていた4億円には届かなかった。それでも、安くはないお金を出して会場に来たファンの姿は、選手にとっても大きなモチベーションになった。(千葉県睦沢町/谷口愛純)