北朝鮮労働者 ロシアで軍用ドローン生産に従事=韓米日主導の監視組織が報告
【ソウル聯合ニュース】韓米日主導で北朝鮮に対する国連制裁の履行状況を監視する「多国間制裁監視チーム(MSMT)」は16日、北朝鮮の海外労働者派遣による国連安全保障理事会決議の違反・回避をテーマとする報告書を公表した。ロシアのドローン工場に派遣された北朝鮮の労働者が、ロシア軍向けの軍用ドローンを生産していることなどが報告された。
北朝鮮労働者(イラスト)=(聯合ニュース)
MSMTは、国連安全保障理事会(安保理)の北朝鮮制裁に関する専門家パネルに代わり2024年10月に発足した。1回目の報告書は北朝鮮とロシアの軍事協力、2回目は北朝鮮の違法なサイバー活動がテーマで、今回が3回目の報告書となる。
◇ロシアのドローン工場などに派遣 ウクライナ国境の復興にも従事
報告書によると、北朝鮮の労働者はロシアの経済特区内にあるドローン工場に派遣され、軍用ドローンを生産している。このほか、兵器工場や鉄鋼加工施設、造船団地などの主要施設にも派遣されており、従来の建設や農作業にとどまらず軍事装備の生産現場にも投入されていることが分かった。
現在、ロシアには約1万5000~3万人の北朝鮮労働者が滞在していると推計される。22年のロシアによるウクライナ侵攻以降、その数は急増しており、ロ朝の協力強化に伴い今後も増える見通しだ。
労働力不足に悩むロシア側で建設作業員の需要が高まっており、ウクライナとの国境地域の復興事業や極東地域での住宅建設、伐採作業などに投入されている。
北朝鮮労働者の多くは「学生ビザ」でロシアに入国している。昨年ロシアが北朝鮮向けに発給したビザの98%以上が同ビザで、現地実習と偽って建設や農畜産業、伐採現場などに送られている。ロシアは学生ビザでも就労できるよう国内法を改正しており、労働者1人当たりの年収は平均約7500ドル(約116万円)と推定されている。北朝鮮労働者がロシアで受け取る月給は、職種によって中国の最大5倍に上ると分析された。
◇北朝鮮労働者 少なくとも17カ国・地域で活動
最も多くの労働者が派遣されている国は中国で、約2万~7万人が滞在しているとされる。23~25年に1万~2万人が北朝鮮に帰ったものの、昨年1月から今年1月にかけて約1万人が新たに派遣されたとみられる。
主に中朝国境の遼寧省や吉林省で衣類・水産物の加工など労働集約型の業種や情報技術(IT)分野に従事している。北朝鮮は衣類や水産分野を中心に労働者の派遣を続けており、電子部品の組み立て工場に送る計画も推進していたとされる。
中国とロシアのほかにも、アフリカや東南アジア、中央アジアなどで医療、建設、IT、製造業などに従事している。
世界全体では少なくとも17カ国・地域に計約3万5600~10万1280人が滞在し、昨年1年間で4億5000万~8億ドルの収益を上げたと推計される。
北朝鮮当局は労働者が得た賃金の80~90%を没収しており、一部では没収額が実際の収入を上回り、労働者が借金を負うケースもあるという。こうして得られた収益の相当部分は中国やロシアにある北朝鮮貿易会社による軍需物資の調達などに使われ、一部は本国へ送金されている。
この過程で国連の制裁対象である朝鮮貿易銀行や朝鮮光鮮銀行などが利用されたほか、北朝鮮の外交車両や外交行嚢を使った現金運搬も確認された。
MSMT参加国は共同声明を出し、北朝鮮海外労働者の収入が違法な核・ミサイルの開発資金に流用されていると批判。安保理に対し、以前と同等の権限を持つ専門家パネルの再設置を促した。