MetaのAI「Llama」を国際宇宙ステーションでの研究用に改造した「Space Llama」が軌道上へ配備される
Metaが、同社のオープンソースAIモデル「Llama」を国際宇宙ステーション用に微調整して宇宙に送り込んだことを明らかにしました。
Space Llama: Meta’s Open Source AI Model is Heading Into Orbit | Meta
https://about.fb.com/news/2025/04/space-llama-metas-open-source-ai-model-heading-into-orbit/Launching A2E2™ Fueled by Space Llama
https://www.boozallen.com/insights/space/large-language-models-in-space-and-beyond.htmlMetaによると、同社はLlama 3.2を微調整し、宇宙飛行士にAIを使ってもらえるよう国際宇宙ステーションに配備したとのこと。
国際宇宙ステーションに配備された「Space Llama」にはジェネレーティブAIとマルチモーダルAIの両方が搭載されているため、宇宙飛行士がプロンプトに基づいてコンテンツを生成したり、文章・画像・音声を認識させてデータを処理させたりすることができます。例として、宇宙飛行士が何らかの説明書を読み込ませて必要な情報を取り出すなどのユースケースが想定されています。 MetaはLlamaの強みについて「オープンソースであるため、柔軟性が高く、インターネットに接続されていないマシンにもダウンロードして導入することができます。国際宇宙ステーションではインターネットが利用できないため、データを処理するためにAI企業を通じてデータを転送したり、地球のコンピューターに接続したりする必要がありません」と語りました。
Llamaを国際宇宙ステーションに配備するという試みは、2024年8月にブーズ・アレンという企業が国際宇宙ステーションに大規模言語モデルを配備したという成功体験を受けて実施されたものです。今回、Metaはブーズ・アレンと協力してLlamaの配備を成し遂げています。 Space Llamaには、ブーズ・アレン独自のエッジコンピューティング向けツールのほか、ヒューレット・パッカード・エンタープライズのエッジコンピューティング「Spaceborne Computer-2」や、強力なAIを国際宇宙ステーションで直接操作できるようにするNVIDIAアクセラレーション・コンピューティングなど各社の技術が集結しています。
こうした技術により、これまで数分かかっていたAIのタスクをわずか1秒ほどに短縮できるとのことです。 Metaは、「宇宙飛行士は、接続を失うリスクを管理することなく、研究や意思決定のためにAIを活用できるようになります。宇宙でのイノベーションは、計算や通信機能を地球上の接続に依存するため、これまでは満足に成し遂げられませんでした。Space Llamaは最新技術を宇宙の端に直接もたらします。この瞬間は、Space Llamaの始まりに過ぎません。私たちは、Llamaのようなオープンソースモデルが宇宙探査や研究で重要な役割を果たし、宇宙飛行士と手を取り合って働きながら複雑な科学的問題を解決し、すべての人のためのイノベーションを前進させる未来を思い描いています」と述べました。
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