首相所信遮るヤジ 維新・吉村氏「子供に見せられない」立民・小西氏「非常に重要な活動」
高市早苗首相が24日に衆院本会議で所信表明演説した際、議場内で「裏金問題」などと激しいヤジが飛び交い、X(旧ツイッター)では、与野党幹部らが相次ぎ是非に言及している。ヤジを巡っては「国会の華」などとして許容されてきた面もあるが、「人が話しているときは静かに最後まで聞く」などと違和感を口にする新人議員もいる。
「この種のヤジはよく聞かれる」
「所信表明に対する国会のヤジはひどいな。反対意見や批判はあるとしても、人の話はちゃんと聞こう。子供に見せられない」
日本維新の会の吉村洋文代表(川村寧撮影)日本維新の会の吉村洋文代表はXでこう苦言を呈した上で、「あのヤジが仕事になる。国会議員の定数大幅削減だよ」と自民党との連立合意書に盛り込んだ衆院議員定数削減の実現を訴えた。
高市氏の所信表明演説は、直前から男性の声で「暫定税率廃止のスピードが後退している」などと声があがった。演説中も「裏金問題全容解明しましょう」「現役世代からおカネ取らないでください」など早口でヤジが飛び、首相が演説をやめ、議場をにらむ場面もあった。ヤジに対しては「静かにしろ」と怒声も注がれた。
大きな声でヤジを飛ばしていたのは野党議員とされる。演説後、立民の野田佳彦代表は記者団に「ヤジは立民の新人議員との指摘がある」と問われ、「この種のヤジはよく聞かれることだ。立民もやっているかもしれない。他もやってるかもしれない」と述べるにとどめた。
「ヤジは内閣監督のため」
首相の演説中のヤジに対しては批判的な声も多い。
立憲民主党の小西洋之参院議員(矢島康弘撮影)これに対して、立民の小西洋之参院議員は「総理の本会議演説も当然に(内閣への)監視監督の対象であり、ヤジはそのためになされているのです」と理解を示した。「ヤジは非常に重要な国会議員の議会活動」とも強調した。
立民の石垣のり子参院議員も、「政策や答弁への即時的な反応としてのヤジまでを、単に『不作法』と切り捨ててしまうのは、議会制民主主義の理解として浅いのではないでしょうか」と反論した。前提として「人格攻撃や差別的な言葉は許されません」と指摘した。
「よしとしない」
一方、新人議員から、発言を遮るようなヤジのあり方を疑問視する声があがる。
7月の参院選で初当選した維新の新実彰平参院議員は、首相の所信表明演説中のヤジについて「所信表明中に、大声で遮ることをよしとする価値観は持ち合わせていません。弊党が連立入りしておらずとも」と強調。
「議論の場においてこんなことが許されるコミュニティーは、日本中探しても、どこにも存在していません。私たちは、その異常性に気づくべきです」と訴えた。
「小学校で習った当たり前のこと」
国民民主党の日野紗里亜衆院議員昨年10月の衆院選で初当選した国民民主党の日野紗里亜衆院議員も「どこの党が、誰がということはなく、(〝ヤジは国会の華〟という)その文化に対して今も違和感と疑問ばかり。特に総理大臣が今後の国の方針を述べる所信表明演説の最中にヤジが飛ぶのはよくない」と違和感を呈した。
その上で「『人が話しているときは静かに最後まで聞く』。小学校で習った当たり前のことを、実践できる国会でありたい」と書き込んだ。