「東大に受かったが明治は不合格」「青学に受かったが女子大はダメだった」…"予想外すぎる受験結果"増えているのはなぜ?(東洋経済education×ICT)
この話を聞いて、こう尋ねた。 「共通テスト利用入試で明治は残念だったのですか?」 共通テスト利用は高得点を求められるから、最難関国立大学を合格しても併願の私立は不合格という例は多々ある。しかし、共通テスト利用ではなく、一般的な学科試験だったという。 ただ、このような「予想外の結果」はここ数年でよく聞く話だ。「筑波大学に合格して、芝浦工大は不合格」「中央に受かったのに東洋は不合格だった」「青学に受かったが女子大はダメだった」「立教に合格したのに日大はダメだった」――。 模試でC判定の第一希望に見事合格したのに、A判定の中堅大学には不合格だった。こういった話が実に増えており、予備校や塾に確認しても「そういう例は増加しており、偏差値順に受かっていくということではなくなっています」と返ってくる。
なぜ「東大に受かって、明治に不合格」といった逆転現象が起こっているのだろうか。
この背景にあるのは、私立大学の一般選抜が難しくなっているという事情だ。なぜ、私立大学は難しくなっているのか。 「総合型・学校推薦型選抜の拡大があります。私立大学が年内入試で早期に合格者を確保する戦略にシフトしています。これらの年内入試は辞退者が少ないので入学者を確保できます」(代々木ゼミナール 教育情報センター教育情報室長 木戸葵氏) 日東駒専や大東亜帝国などの中堅大学の入学者のうち、半数以上が年内入試を経ている。東京理科大や芝浦工大といった理系大学も指定校推薦の数を増やしている。そうなると、一般選抜の割合が狭くなる。 もう1つの大きな要因は、定員厳格化だ。定員数を一定以上オーバーすると、国からの補助金が減額されるルールになっている。大規模大学では収容定員の110%を超えると補助金が減額されるため、それを避けるために大学側は合格者数を絞り込んでいる。 それもあって、2026年度は多くの私立大学で繰り上げ合格がなかった。「東大に受かって明治は不合格だった」という例を挙げたが、その明治大学政治経済学部政治学科の一般選抜の入試倍率の推移を見ていこう。 22年 2.5倍、23年 3.4倍、24年 2.3倍、25年 3.5倍、26年 3.2倍。つまり、隔年で2倍台と3倍台を繰り返してきたので、本来なら26年は2倍台になるはずだったが3倍台をキープしている。それだけ競争が激しかったわけだ。 「国立大学と私立大学では入試の傾向が違います。東大入試は知識を基に記述力や思考力を求めますが、私立大学は知識量を求めます」(木戸氏) つまり、国立大学対策に専念してきた受験生が、併願の私立受験の準備に時間がかけられなかったというケースがあるのだ。 結果、東大に合格しても、明治に不合格というケースが出てくる。ちなみに今年の明治は難しかったと評判で、早稲田に合格したが明治は不合格だったという例も。その学生の場合、クラス担任も「どうしてこんな学力が高い生徒が明治は不合格だったのか」と首をひねったという。
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私立大学の同時併願でも、このように難易度が高い大学に合格したのに、併願校に不合格だったケースも増えている。 特にMARCH合格で女子大は不合格という話はしばしば聞く。青山学院の文学部英米文学科は河合塾偏差値62.5、日本女子大の英文は52.5。偏差値が10違う。 今、津田塾、日本女子大、東京女子大は日東駒専と同じか、やや下がるぐらいの難易度だ。一般選抜の割合が狭まっていることもあり、難易度が上がっている。 また、日本女子大が入試日程を増やして志願者数を伸ばした結果、倍率が上昇し、「青山学院合格・日本女子大不合格」という事例も出ている。塾関係者の間では「日本女子・東京女子・津田塾や共立・昭和女子大あたりは滑り止めにならない」という認識が広がりつつある。 名門女子大の中には定員割れする大学も出てきており、「女子大の危機」と報じられているが、女子大でも差があり、人気が安定している女子大は「危機的な状況」ではないし、難易度は高まりを示しているのだ。 なぜなら、女子大は指定校推薦で学力が高く真面目な学生が入学してくるので、推薦枠が拡がっていき、一般選抜の枠は狭まる。ある高校の進路指導はこう話す。 「最難関大志望の生徒に、併願で津田塾の受験を勧めると、『津田塾なら進学させてもいい』と保護者が納得してくれる。保護者世代にとって女子大への信頼感は高いと思います」 このように、女子大は学力上位層も受験してくる。ある東大生に併願先を聞くと、「早稲田、理科大、津田塾」と答えた。女子は浪人をしたがらないから、東大に合格するほどの学力があっても女子大を併願で受けてくる。
前述したとおり、難易度の高い大学に合格しても、中堅大学で不合格になるという現象が起きるもう1つの理由は、過去問対策の準備不足だ。 東大受験を目指して勉強をしていたら、「明治は模試でA判定が出ているから平気だろう」と安心して、明治大学の過去問を解くなどの準備をしていなかったがゆえに不合格になることがあろう。 「代々木ゼミナールでは併願する大学も最低2年分は過去問を解くように指導しています」(木戸氏) かつてなら、過去問を解くなどの準備をしなくても合格できた大学が今は準備が必要となっている。そのため、単に学力を上げるだけではなく、併願校を含めての過去問対策が重要になってきているのだ。