野球のバットや棺おけも標的に、トランプ関税が米消費者を直撃

トランプ米大統領が米東部時間12日午前0時1分(日本時間12日午後1時1分)に鉄鋼・アルミニウム関税を発動すれば、米金属メーカーの救済につながったと同氏や支持者が主張する政権1期目の関税の再来となる。

  だが今回、大きく異なるのは、提案されている関税が前回対象となった鉄鋼とアルミだけでなく、1500億ドル(約22兆円)を超える輸入消費財にも直接賦課される点だ。

  つまり、少年野球選手らが使うアルミ製バットから、釣り具、ローラースケート、裁縫針などあらゆるものに最低25%の新たな関税が賦課される。最愛の人とのお別れさえも高額になりそうだ。埋葬用棺おけも新しい輸入関税の対象となる予定。

  経済への影響は、トランプ氏による二転三転する政策の脅しと、実際に実行する政策の中身に左右される。カナダのオンタリオ州首相が米国向けの電力価格に25%上乗せする計画を打ち出したことに対し、トランプ氏がカナダ産鉄鋼・アルミへの関税率を50%に倍増する案を提示。株価は急落したが、両者が譲歩したため、最終的には株価は下げ幅を縮小した。

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  より広範囲な品目を標的することは、トランプ氏の貿易政策戦略の変化に沿う動きで、エコノミストや金融市場が米景気減速と保護主義の幅広い影響に懸念を強める理由を示している。

Index level now far exceeds heights reached in Trump’s first term

Source: Bloomberg Economics / BBUNTPGD Index

  トランプ氏がホワイトハウスに復帰してからの7週間、関税に関する発表の多さにエコノミストや投資家は驚かされている。だが多くの米国人にとっては、新たな関税の対象範囲の広さが前回との最大の違いであり、日常生活における輸入品依存度の高さを浮き彫りにしている。

  消費者へのこうした打撃は、すでに反発を招いている。世論調査では、トランプ氏の関税政策が不評である主な理由として、物価への影響が挙げられた。ブルームバーグ・ニュースの委託でハリス・ポールが先月実施した調査によると、トランプ氏の関税が物価上昇につながると米成人の約60%が予想した。

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  調査によると、米国の輸入業者が通関時に支払う関税コストは、最終的に消費者が負担することが多い。しかし、関税などの税金が個々の商品価格に与える影響は、表面的な税率を上回る可能性があると、ミシガン大学ビジネススクールのエコノミスト、ニルパマ・ラオ氏は述べている。

「絶好の機会」

  企業は関税やその他の税金を、単にコスト増を相殺するだけではなく、さらに値上げする口実として利用する傾向にあるとラオ氏は指摘する。

  例えば、ローラースケートの想定価格が新課税で21.12ドルに上がった場合、販売する企業は、よりなじみのある価格である21.99ドルに値上げする可能性が高く、「値上げを関税のせいにする絶好の機会だ」とラオ氏は言う。

  12日に発動予定の鉄鋼・アルミ関税に加え、トランプ政権はすでに中国からの輸入品に20%の一律追加関税を賦課している。これらは、トランプ政権1期目の対中関税では影響を受けなかったテレビやスマートフォンなどの家電製品の価格を押し上げている。ウォルマートやベスト・バイなどの大手小売りも、販売に打撃が及ぶ可能性について警鐘を鳴らしている。

Category had been a key driver of disinflation last year

Source: Bureau of Labor Statistics

原題:From Baseball Bats to Caskets, Trump Tariffs Set to Hit Home (2)(抜粋)

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