「もう我慢できない」隣人の防犯カメラが自宅玄関に向いている!撤去や撮影範囲の変更を求めることはできるか?(弁護士ドットコム)|dメニューニュース
「防犯のため」という名目で設置されたカメラが、実は隣人の生活を24時間「監視」していたら──。
自宅に向けられた他人の防犯カメラに精神的苦痛を感じているという相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。
相談者の自宅は、道路から細長い通路を入った先にある「旗竿地(はたざおち)」に建っています。隣家の住民が設置した防犯カメラが、相談者宅の玄関先と駐車場に向けられているといいます。
相談者が帰宅するたびにそのカメラが視界に入り、家族や来客の出入りが記録されているような状況のようです。
●隣人とうまく付き合いながら生活したい相談者
「自分たちが我慢すればトラブルなく過ごせる」「家に入れば大丈夫だ」
そう自らに言い聞かせ、これまで黙ってきました。しかし、その我慢も限界に近づいています。
持ち家のため、簡単に引っ越しすることはできず、できれば地域の住民とうまく付き合いながら、この場所で生活を続けたいと考えているといいます。
このように、隣人のプライバシーを侵害しかねない防犯カメラの設置は、法的に問題ないのでしょうか。また、カメラの撤去や撮影方向の変更、映像へのマスキング処理(ボカシ)などを求めることはできるのでしょうか。櫻井俊宏弁護士に聞きました。
●撮影の状況などによっては損害賠償の対象に
──隣人の家を撮影するような防犯カメラの設置は、法的に問題ないのでしょうか。
設置された防犯カメラによる撮影であっても、他人の私有地が対象となる場合には、撮影されている人の状態や時間帯、場所、撮影内容の精度など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。
これらの状況によっては、民事上のプライバシー侵害として、損害賠償の対象になる可能性もあります。
●裁判所を通せば強制できることも、問題は費用
──カメラの撤去や撮影方向の変更、映像へのマスキング処理などを求めることはできるのでしょうか。
裁判を通じた差止め請求などにより、カメラの撤去や撮影方向の変更、映像へのぼかし処理を求めることができるケースも考えられます。
ただし、手続きには時間と労力がかかりますし、仮に損害賠償が認められたとしても、金額は少額にとどまるのが一般的です。高額な弁護士費用を負担してまで対応するのは、現実的とは言いにくいでしょう。
──隣人に直接お願いするのか、それとも住宅販売会社や弁護士などを間に通したほうがいいでしょうか。
住宅販売会社や町内会には、相手方に注意する義務はありません。そのため、積極的に協力してもらえる可能性は低いでしょう。
まずは、自ら「お願い」という形で伝えるのが望ましいと思います。
たとえば、「うちの敷地内が映っているようで困っています。少しカメラの向きを変えてもらえないでしょうか」「うちのほうが映る部分には、ぼかし処理をしていただけないでしょうか」といった伝え方です。
●可能な限りソフトな対応から進めていくべき
──相談者は「穏便に解決したい」と考えているようですが、どんな対応が望ましいでしょうか。
まずは相手の対応を見たうえで、その後の対応を検討するのがよいでしょう。
やり取りの経緯や、防犯カメラの設置状況がわかる写真などの証拠は、将来的に法的手続きに進む可能性も踏まえ、記録として残しておくべきです。
近隣トラブルは、日常生活に直接影響を及ぼします。相手と顔を合わせる機会も多いからこそ、可能な限りソフトな対応から進めていくべきだと思います。
【取材協力弁護士】櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士企業法務・交通事故・相続・離婚問題等を得意としている千代田区・青梅市の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。中央大学の法律顧問(法実務カウンセル)を担当している。応援団出身であり現在監督。「弁護士 ラーメン」と検索すると自身のラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン通。事務所名:弁護士法人アズバーズ
事務所URL:http://as-birds.com