25年のサッカー日本代表、若手台頭・アウェー戦がカギ サッカージャーナリスト 大住良之
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森保一監督率いる日本代表の2026年ワールドカップ(W杯)出場は「既定事実」と言っていい。アジア最終予選は全10節のうちまだ4節を残しているが、3月に予定されているバーレーン戦(20日)とサウジアラビア戦(25日、ともに埼玉スタジアム)のいずれかで8大会連続のW杯出場が決まるはずだ。
24年の日本代表は、ドイツ代表に対するアウェーでの4-1の勝利を含む8連勝を記録した23年にも増した強さと安定感を見せた。1月から2月にかけてカタールで行われたアジア・カップではイラクとイランに敗れて準々決勝敗退という痛手を受けたが、森保監督は9月の最終予選開始までに弱点を見事に克服し、6試合を終わって5勝1分け。それも圧倒的な強さ(22得点、2失点)で他を大きく引き離した。
23年から一貫して採用してきた4バック(4-1-4-1あるいは4-2-3-1システム)から3バック(3-4-2-1)への転換が大きなポイントだった。相手のラフなロングボールへの対応で不安定になったアジア杯の反省を生かし、DFラインに長身選手3人を並べて守備に安定をもたらした。
DFラインでは、中心的役割を担うはずの冨安健洋(アーセナル)をケガで欠いたものの、谷口彰悟(シントトロイデン)が中心となり、板倉滉(ボルシアMG)と町田浩樹(サンジロワーズ)が万全の守備を見せた。
そして三笘薫(ブライトン)と堂安律(フライブルク)という欧州のトップリーグで攻撃の推進役を務めているアタッカーを両サイドの「ウイングバック」に配し、試合の流れでそこに伊東純也、中村敬斗(ともにスタッド・ランス)、前田大然(セルティック)ら個性的で攻撃的な選手たちを交代で使った。このアイデアは、3バックの安定度と「対」をなすものだが、これがずばりはまった。
アジア最終予選は3つの組で行われているが、6試合を終えた時点で計22ゴール(1試合平均3.67点)のC組の日本に次ぐのは、A組のイラン、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてB組の韓国の12ゴール(1試合平均2点)である。
さて、明けて25年。3月のホーム連戦、バーレーン戦とサウジアラビア戦までは「最終予選モード」の試合となるが、以後は26年6月に開幕するW杯本大会に向けての準備という位置付けになる。24年中の最終予選6試合はほぼメンバーを固定して戦ったが、25年6月からの1年間は、森保監督が標榜する「W杯優勝」へのチームづくりということになる。
最大のテーマは、若い世代の台頭による競争の激化だろう。現在の日本代表は「高齢化」が進んでいるわけではないが、チームに勢いをつけるのは伸び盛りの若手だ。22歳のGK鈴木彩艶(パルマ)と23歳の久保建英(レアル・ソシエダード)を除けば主力の大半が20代後半という中、20代前半の若手にチャンスを与え、チーム全体にさらなる成長の力を与えたいところだ。
ドイツのシュツットガルトでポジションをつかんだDFチェイス・アンリ(20)、「次代の日本の中核選手」といわれるDF高井幸大(川崎、20)、MF松木玖生(ギョズテペ、21)、MF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン、22)、そしてドイツのマインツでいきなりチームの中心となったMF佐野海舟(24)ら、現在の日本には、26年W杯に向けて期待できる選手が目白押しだ。
「競争のさらなる激化」とともにW杯に向けての準備でカギになるのが、マッチメークだ。6月に最終予選が終われば、1年後のW杯に向けてチームを強化できるチャンスは主に9月、10月、11月、そして26年の3月と6月に予定されている5回の「国際サッカー連盟(FIFA)インターナショナルウインドー」での親善試合となる。各月に2試合、計10試合が、W杯前に可能な強化の舞台となる。
近年では森保監督の真摯な取り組みがそのままチームの取り組みとなっているため、国内に海外チームを迎えての親善試合も無意味とはいえないが、やはり重要なのは慣れない環境での強豪とのアウェーゲームだろう。中でも、W杯の舞台となる米国、カナダ、メキシコでホームチームとの親善試合ができれば理想的だ。この3チームは全て22年W杯出場国で、米国がFIFAランキング16位、メキシコが19位、カナダが31位と、実力も申し分ない。
欧州の強豪は、25年中はW杯予選が入っていて、FIFAランキングで日本より上位のチームで9〜11月に「空き日」があるのは、10月のイングランドぐらい。欧州の強豪との親善試合が組めるとしたら、26年に入ってからになる。
一方、南米は9月までに予選を終える予定なので、10月と11月には対戦が可能だ。いずれにしても、W杯のホスト国(米国、カナダ、メキシコ)は予選がないので、この3カ国との「アウェー対戦」を優先し、空き日ができたら南米チームに北米へ来てもらって試合をするという形になるのではないか。
ここ数年の日本サッカー協会の代表チームマネジメントは素晴らしい実績を残しており、日本代表の強化に向けて25年9月からW杯直前にかけてどんな相手とどんな状況で試合ができるのか、楽しみにしたいところだ。
そして、25年7月には、少し毛色の変わった「国際大会」がある。韓国で開催される東アジアE-1選手権である。「FIFAインターナショナルウインドー」の枠内ではないので、招集できるのはJリーグ所属選手が中心となるが、ここでの活躍が認められれば、9月からの親善試合を経て26年W杯出場につながる。実際、22年7月に行われたこの大会に出場した日本代表から、4人の選手がその年末にカタールで開催されたW杯でメンバー入りを果たしている。
25年の日本代表は、「来年、W杯北中米大会の舞台でどんな日本代表ができるか」という視点で見ていきたい。
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