NTT、電話線地下トンネルに水素パイプライン検討 島田社長「かなりの実現性ある」

インタビューに応じるNTTの島田明社長インタビュー=19日午前、東京都千代田区(酒井真大撮影)

NTTが電話などの通信ケーブルを収納していた地下トンネルに水素パイプラインの敷設を検討していることが19日、分かった。島田明社長が産経新聞とのインタビューで明らかにした。従来の太陽光パネルより薄く折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」を使って二酸化炭素(CO2)を排出しない「グリーン水素」と組み合わせ、人工知能(AI)ブームで拡大する電力需要に応える。

人が歩いて通れるほどの大きさで、通信ケーブルを収容する地下トンネル「洞道(とうどう)」に水素パイプラインを設置する。NTTは固定電話サービスに使う銅回線(メタル回線)を2035年までに廃止する方針で、光ファイバーへの代替や設備のコンパクト化が進む中、空きスペースの活用が課題となっている。

グループでエネルギー事業を手掛けるNTTアノードエナジー(東京都港区)が事業を担う。ペロブスカイトで発電した電力で水素を生成する。大阪・関西万博で約200メートル離れたパビリオンとパイプラインで結んだほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援などを受けた実証試験を各地で重ねている。島田氏は「需要は必要だが、かなりの実現性はある」と自信をみせた。

営業減益が続くNTTドコモについては「顧客基盤を守ろうと施策を打ち出している。シェア維持が重要でそこはうまくいっている」と評価。人口が密集する都市部を中心に、高性能な通信機器を導入しており、「今年度末までには通信品質はかなり改善する」とも語った。

島田氏は6月で社長就任から4年となる。去就については「新しい事業ポートフォリオを作っていく人にバトンタッチしないといけない」と述べるにとどめた。(高木克聡、藤谷茂樹)

NTTの島田明社長のインタビューでの主なやりとりは次の通り。

--NTTドコモは通信品質低下で不振が続く。どう立て直しを図るか

「品質改善に向け都心の人口密集地域には新型機器を導入し始め、今年度末までに設置工事を強化する。2~3月にはかなり改善するはずだ。こうした活動に丁寧に取り組み、利用者の満足を得たい」

--光通信技術を活用する次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を推進してきた。今後の見通しは

「来年にかけ、半導体の処理速度が電子回路では追いつかなくなり、光に置き換えざるを得ないタイミングが来る。2030年には(拠点間をすべて光通信でつなぐ)ネットワークが日本国内で構築されているだろう。いかに優良なパートナー企業とエコシステムを作るかが重要だ」

--保有設備の有効活用をどう考えているか

「メタル回線(銅回線)から光回線に切り替わり、ケーブルを収納する地下トンネルに空間が余っている。そこに水素を配送するパイプラインを引きたい。昨年の大阪・関西万博会場で実証を行い、NTTアノードエナジーを通じ水素配管の研究開発を進めている」

--グループ再編の今後の戦略は

「グループ企業間の距離感は縮まっている。それぞれのリソース(経営資源)を活用し合い、新しいサービスや付加価値を展開できるはずだ」

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