「車なかったら医者も行けない」「もうちょっと乗ろうかと」免許返納悩みつつ…高齢ドライバー葛藤 全国初『高齢者講習』特化専門校に密着「今年何年?」に「2014年」誤答 一時停止見逃し“ヒヤリ進入”も
取材班が向かったのは、兵庫県高砂市にある「はりま高齢者講習専門校」。高齢者講習に特化した教習施設として、全国で初めて開校した専門校だ。 現在、70歳から74歳の人が免許を更新するには、座学と実車指導を合わせて2時間の講習を受ける必要がある。 さらに75歳以上は、講習の前に記憶力や判断力を測る「認知機能検査」に合格しなければならない。 この日、講習に訪れた受講者からは、複雑な本音が。 87歳の受講者:車がないと、介護など行きたいときに行けない。 87歳の受講者:免許なくなったら、仕事やめる。 78歳の受講者:免許返納しようと思うけど、もうちょっと乗ろうかとなる。
この「認知機能検査」。今回の取材では、16枚の絵を覚えて書き出す問題が出題。 スラスラと答えを書く人がいる一方で、頭を抱え込む受講者の姿も見られた。 「今年が何年か」を答える問いでは、ある80代の受講者が「2014年」と記入。その後、誤りに気づいて訂正しました。 ことしを「2014年」と誤答した80代の受講者:覚えてたけど全然あかん。あんな簡単なことが分からない。さっと出てこない。 本人も言葉に詰まりながら、そうこぼした。 認知機能検査の合格率は99%以上と非常に高く、この日の受講者も全員合格。しかし、検査を通過した後の実車指導では、さらなる「現実」が待ち受けていた。
この日、講習を受けた87歳のドライバーは、乗り慣れない教習車に出発前から戸惑う様子を見せた。 実車指導が始まると、赤信号の交差点に侵入しそうになる場面が発生。指導員が「まだ動いたらあかん」と声を上げ、ヒヤリとする瞬間があった。 「毎日通勤で片道1時間を運転している」という75歳の受講者は、一時停止の標識に気づかないまま、交差点に進入しそうになった。 75歳の受講者:今の車は『一時停止ですよ』と言ってくれる。慣れた道でないとそこが抜けてしまう。 それでも「免許返納は考えていない」と言う。 75歳の受講者:働いている間は車が必要。80歳過ぎるまでは乗りたい。
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踏み間違い事故を防ぐための課題として実施されるのが「段差乗り上げ」だ。スムーズなブレーキとアクセルの踏み替えができているかを確認する。 78歳の受講者は、白線を大幅に超えてしまいました。77歳の受講者もアクセルを踏み込む力が強すぎると指導員から指摘を受けた。 「アクセルをゆっくり踏むだけでふわっと上がれる。でも皆さん上がらないと思ってギュッと踏んでしまう。それで急発進してコンビニに突っ込むわけです」と指導員は説明します。 段差乗り上げに苦戦した78歳の受講者は、「記憶力とか、多少悪くなっている。免許なくなったら医者行くのに困るな」と本音を明かした。 一方、家族からは「まだ乗ってるの?」と言われているという。
全国的に高齢者講習の予約が取りにくい状況が続いており、数カ月待ちになるケースも少なくない。 はりま高齢者講習専門校はそうした現状を打破すべく、6年前に開校した。 はりま高齢者講習専門校 湯蓋邦彦マネージャー:高齢者の方を希望どおり案内できるように、明日でも明後日であっても、何とかしようという考えでやっています。 指導員の岡部正裕さんは、高齢者の運転をこのように感じているという。 はりま高齢者講習専門校 岡部正裕指導員:いろんな悪い癖がついてる人が多い。悪い癖があると自覚してもらった上で、視力や身体機能の低下も自覚して、身体機能に見合った運転に切り替えることが必要。
この日、「今回が最後の免許更新」と胸に決めて、講習に臨んでいた74歳の女性がいた。 毎日買い物や畑仕事でハンドルを握っていますが、「自信がない。大きな事故してからでは遅い。覚悟してます」と静かに語った。 “免許を返納するかどうか”悩んでいる高齢ドライバーに、指導員が伝えていることがある。 はりま高齢者講習専門校 岡部正裕指導員:『返納する』は簡単に言える。車をなくしてしまったら、どういう生活をしないといけないか、その代替手段について、家族で話をしてほしい。 (関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年5月4日放送)
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