バフェットよりも金持ちなバルマーの資産は、ほぼひとつの株式銘柄に依存している

「マイクロソフト株は、私が所有できたであろうほかの資産のほとんどすべてを上回るパフォーマンスを示してきた」と、かつてマイクロソフトでCEOを務めていたスティーブ・バルマーが、12月22日に掲載された『ウォール・ストリート・ジャーナル』のインタビューで語った。

Steph Chambers via Getty Images

  • スティーブ・バルマーは自身の投資戦略について、部分的にはウォーレン・バフェットの影響を受けていると語った。
  • しかし、バルマーは純資産で見るとバフェットよりも裕福でありながら、その投資ポートフォリオはとても独特だ。
  • WSJによると、バルマーのポートフォリオの80%以上をマイクロソフト株が占めている。

スティーブ・バルマーの投資アプローチは非常に個性的だ。

マイクロソフトの元CEOである彼は、ブルームバーグのビリオネアインデックス(Bloomberg Billionaires Index)によると、1510億ドル(約22兆6500万円、1ドル=150円換算:以下同)の資産を有しており、世界で9番目に裕福な人物である。この資産額は、投資家として有名なウォーレン・バフェットをおよそ100億ドル(約1兆5000億円)上回っていることになる。

バルマーは自身の投資戦略について、部分的にバフェットの影響を受けていると、「ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal:以下、WSJ)」へ2024年12月22日に公開されたインタビューで語った。バフェットは、株式を選んで買う人々のほとんどは、一般的なインデックスファンドのリターンを超える収益を得ることはできないと言ったことで知られている。

しかし、バルマーとバフェットのあいだには、ひとつの大きな違いがある。

バフェットとの相違点

WSJのレポートでは、バルマーのポートフォリオの80%以上をマイクロソフト株が占めているのだ。残りがインデックスファンドである。ただしバルマーは、マイクロソフト株の保有量については語らなかった。

「マイクロソフト株は、私が所有できたであろうほかの資産のほとんどすべてを上回るパフォーマンスを示してきた」と、バルマーはWSJで語った。

一般的には、さまざまな資産クラスに資本を分散することでリスクを減らすことが可能だと言われているが、バルマーの投資戦略はその真逆を行く。また、ほとんどの場合、世界で最も裕福な人々は株式と債券だけでなく、プライベート・エクイティや不動産などといった非流動性資産にも投資している。だがバルマーは、「プライベート・エクイティからほぼ撤退した」そうだ。

そのバルマーとて、これまでずっと流れに逆らってきたわけではない。

現在68歳の彼は、過去に資産を分散しようとしたが、確実に市場を上回るリターンをもたらす資産管理者を見つけられなかったそうだ。

「私が今も本当に注目している銘柄はマイクロソフトだけ。なぜなら、それだけがいまだに、私が所有しているもののなかで、圧倒的かつ圧倒的かつ圧倒的にナンバー1だからだ」とバルマーはインタビューで語った。

「MSのリーダーのひとりとして」

バルマーは1980年にマイクロソフトに入社し、2000年に創業者のビル・ゲイツを引き継いでCEOに就任した。

規制当局に提出した文書によると、2014年にCEOを辞した時点で、マイクロソフトを3億3300万株、比率にして4%保有していた。

今年、マイクロソフト株は16%の上昇を示した。テック大手としてシアトルに本拠を置くマイクロソフトは、サム・アルトマンのOpenAIやフランスのミストラルAIなどといったスタートアップに巨額を投じ、AI競争をリードしてきた。

10月、マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラが収支報告において、同社のAI事業は次の四半期において年間収益100億ドルを超える軌道に乗っていると発表した。

これは、マイクロソフトの歴史において、AIが最速でこのマイルストーンに到達する事業となることを意味すると、ナデラは付け加えた。

バルマーはマイクロソフト株で大きな利益が得られたのは幸運のおかげだと語る。

「株価のことは忘れよう。基本的に私は運よく、正しいことを言う人々の話を聞いただけだ」と、バルマーはWSJに語った。

そして、「マイクロソフトに対する忠誠心から、同社のリーダーのひとりとして売る側になりたくないと考えたのも、幸運だった。それが結果として、最高の投資になった」と付け加えた。バルマーは、Business Insiderからのコメントの求めには応じなかった。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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