英中銀、四半期に1度の利下げは今や不確実-チーフエコノミスト

Tom Rees、Irina Anghel

  • 今後の利下げペース、過去1年ほどには明確でない-インフレ再燃で
  • チーフエコノミストのピル氏、7日発表の政策判断で利下げに反対票
Photographer: Hollie Adams/Bloomberg

イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミストを務めるヒュー・ピル氏は、インフレ再燃で家計や企業の行動が変化するリスクが生じているため、これまで四半期に一度行ってきた利下げのペースを減速する必要があるかもしれないと警告した。

  物価上昇圧力は予想以上に長引く恐れがあるとピル氏は述べ、食料費の上昇が家計のインフレ期待に及ぼす影響を指摘した。

  英中銀は7日、金融政策委員会(MPC)で意見が割れたため再投票した末に金利を0.25ポイント引き下げることが決まったと明らかにしたが、ピル氏は利下げに反対票を投じていた。

  ピル氏は8日に行われたオンラインでの説明会で、「過去1年間、四半期ごとに0.25ポイントの利下げを実施してきた」が、インフレリスクの高まりで「これが持続可能なのか、自問せざるを得なくなる可能性がある」と語った。

  ピル氏の発言は、英中銀が年内は追加利上げを見送る可能性があるとの見方を強めそうだ。短期金融市場が織り込む利下げ確率は11月で50%を下回っており、昨年8月以降続いてきた四半期に1度の利下げが途絶える恐れが生じている。

  7日に発表された政策判断は最終的に5対4で決定され、ピル氏のほかロンバルデリ副総裁らも反対に回った。4人の反対は、エコノミストが予想したよりも多かった。

  ピル氏は「2-3年先のインフレリスクのバランスがやや変化したとの見方が、MPC内にあると思う」と指摘。「中銀の金利はもう少し下がる余地があるが、今後の利下げペースは、過去1年ほどにはやや明らかでないと思う」と語った。

  さらに、「食品価格がインフレ期待に及ぼす影響の大きさを考えると、それがより持続的なインフレの動きにつながるリスクがある」と論じた。

  今回の利下げで、英中銀が考える中立金利のレンジ上限に接近しつつあるとの見方も示し、「中立金利が正確にどこなのかは難しい問題で、MPCは過去にさまざまな声明を発表してきた。直近では、恐らく名目で2-4%のどこかだとしており、従ってわれわれは今や、そのレンジに近づきつつある」と説明した。

原題:BOE’s Pill Warns Quarterly Pace of Interest-Rate Cuts in Doubt(抜粋)

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