原油先物が5%超急騰、イスラエルのイラン攻撃開始受け

 6月13日、アジア時間序盤の原油先物価格は、イスラエルがイランへの攻撃開始を発表したことで4ドル超急騰した。中東の緊張が高まり、原油供給に影響が出るのではないかと懸念が高まっている。写真は、サウジアラビアのサ石油ターミナルで積荷中のタンカー。2018年5月、サウジアラビアのラス・タヌラで撮影(2025年 ロイター/Ahmed Jadallah)

[13日 ロイター] - 13日アジア時間の原油先物価格は、イスラエルがイランへの攻撃開始を発表したことで9%超急騰し、約5カ月余ぶりの高値を付けた。中東の緊張が高まり、原油供給に影響が出るのではないかと懸念が高まっている。

0315GMT(日本時間午後0時15分)時点で、北海ブレント先物は6.29ドル(9.07%)高の1バレル=75.65ドル。一時は78.50ドルまで上昇し、1月27日以来の高値を付けた。米WTI先物は6.43ドル(9.45%)高の74.47ドル。一時は77.62ドルまで上昇し、1月21日以来の水準まで上げた。

両指数の上昇率は、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月以来の大きさとなった。

イスラエルは13日未明、イランの核兵器開発を阻止するために同国の核施設に先制攻撃を実施したと発表した。イランのメディアは国内の主要なウラン濃縮施設などで爆発があったと伝えた。 もっと見る

ウォーレン・パターソン氏率いるINGのアナリストは顧客リポートで「これにより地政学的な不確実性が大幅に高まり、石油市場は供給途絶の恐れに対するリスクプレミアムをより高く織り込む必要が生じた」と述べた。

MSTマーキーのシニアエネルギーアナリスト、ソール・カボニック氏は「イスラエルによるイラン攻撃でリスクプレミアムがさらに高まった」と指摘。

「石油供給が実際に重大な影響を受けるには、域内の石油インフラに対するイランの報復にまで紛争がエスカレートする必要がある」とも述べた。極端なシナリオでは、イランはインフラ攻撃やホルムズ海峡の通航制限を通じ、最大で1日2000万バレルの石油供給を阻害する可能性があると予想した。

フィリップ・ノバのシニア市場アナリスト、プリヤンカ・サチデバ氏は「イランは緊急事態を宣言し、報復の準備を進めている。混乱だけでなく、近隣産油国にも波及するリスクが高まっている」とし、「トランプ米大統領は消極的な姿勢を示しているが、米国が事態に関与すれば懸念がさらに高まる可能性がある」と述べた。

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