イスラエル、レバノン首都を空爆 ヒズボラとの戦闘で停戦後初めて
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イスラエルは6日、先月中旬にレバノンのシーア派組織ヒズボラとの戦闘について停戦合意して以降で初めて、同国の首都ベイルートを攻撃した。停戦合意は紛争の収束につながっておらず、効力がいっそう危うくなっている。
イスラエルは、ヒズボラの拠点があるベイルート南郊ダヒエ地区を空爆した。インターネットに投稿された画像からは、大きな炎が上がり、少なくとも1棟の建物が甚大な被害を受けた様子がわかる。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明を発表し、ヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」の司令官を標的とした空爆を自ら承認したと説明。その司令官は、イスラエルの集落への攻撃やイスラエル兵への攻撃に関与した人物だとした。そして、「テロリストに免責はない。イスラエルの長い腕は、あらゆる敵や殺人者に届く」とした。
現地メディアによると、攻撃はラドワン部隊が会合中だった午後8時ごろ実施された。ヒズボラからの反応はみられていない。
イスラエルとレバノンの政府間の停戦は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が4月16日に発表した。それ以降にダヒエ地区が攻撃されたのは今回が初めて。
停戦合意にもかかわらず、イスラエルとヒズボラは攻撃を続けており、互いに相手が合意に違反していると非難している。
イスラエルは、空爆のほとんどをレバノン南部で実施してきた。イスラエル軍は、ヒズボラに関連するインフラや人が攻撃対象だと説明している。ヒズボラはイランの支援を受ける準軍事組織で、政党でもある。
レバノン保健省によると、こうしたイスラエルによる攻撃で、過去1週間だけでレバノン各地で、女性や子どもを含む計120人以上が殺害されている。同省は死者数の発表で、戦闘員と民間人を区別していない。
イスラエル軍はまた、国境沿いのレバノン領土の一部を占領している。イスラエル当局は、「ヒズボラ不在の安全地帯」をつくり出し、国境を接するイスラエル北部のコミュニティーを守るのが目的だとしている。
これらの地域では、イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区で実施したのと同様の作戦を展開し、集落をすべて破壊している。人権団体は、一部の事案は戦争犯罪の可能性があると指摘している。
一方ヒズボラは、レバノン国内やイスラエル北部にいるイスラエル軍を、ロケット弾やドローンで攻撃している。
レバノン南部では先週、イスラエル国防省の請負業者がショベルカーでの作業中、ドローン攻撃によって殺害された。
ヒズボラは、停戦交渉には関わっていなかった。当初は、イスラエルが合意を順守するなら自分たちもそうするとの意向を示していた。
ベイルートのダヒエ地区は、かつては活気にあふれ、人も多かった。しかし停戦以降も、ほぼ無人状態になっている。住んでいた人たちは、イスラエルの空爆が恐ろしくて自宅に戻るのが怖いと話している。
イスラエルとレバノンの協議は、アメリカの支援を受けて続いているが、大部分は大使レベルとなっている。レバノンのジョセフ・アウン大統領は、近いうちにネタニヤフ氏と会談することはないとしている。
レバノン保健省によると、イスラエルが地上部隊をレバノン南部に進めた3月2日以降、同国では2700人以上が殺害されている。
一方イスラエルは、レバノン南部で兵士16人と民間人1人が殺害されたと発表している。また、イスラエル北部でも民間人2人が殺されたとしている。